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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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コネクト



クリスマスのディナーは…簡単なサンドウィッチですませる事になりました。

少し不満ではありますが、毛足の長いブランケットに二人でくるまり、物語の話を聞きながら食するとなれば、不満を言うわけにも行きません。


秋に作りだめしたリンゴジャムを使ったらロシアンティー。

スクランブルエッグ

スモークサーモンと玉ねぎのマリネのサンドウィッチ。

急いで支度が出来るのはこれくらいです。

私はそれを華やかなクリスマスの紙ナプキンに包み、ポットにリンゴのロシアンティーをつめると急いで作者の元に行きました。


作者は暖炉の前に置いたムートンのラグの上にパイプハンガーに毛布をかけて小さなテントを作り中で眠っていました。


疲れているのでしょう…

私は床にサンドウィッチの乗った盆を置き、その小さなテントの外側で作者の寝顔を見つめていました。

約束の年を前に、色々と頑張りが絡まってしまったのでしょう…

それでも…未完を忘れずに…私を思ってくれた事が、本当に嬉しいのです。


それにしても…未完で放置の『乱歩さま』を一気に完結後の世界で話を作るなんて、無茶苦茶です。


乱歩さま…の正式名称は『おねがい!乱歩さま。“著作権の切れた乱歩作品は応募できると言われたので100周年の明智小五郎を推しにおくりたい”』と言う、当時、流行った長文の題に挑戦したお話でした。


この話が未完で止まってしまったのは、2021年を舞台にコロナの世界観で作られたこと、そして、乱歩作品を扱うのが、想像以上に難しかった事、

そして、作中作者と夢に見た万博の旅行を…皆でする目的を…

剛さんが亡くなった事で叶えられなれなくなり混乱したことが原因です。


それでも…なんとかしようと、もがいていらっしゃいましたが、社会の急な変化や他の作品に追われて現在に至るのです。


この作品が、後回しになってしまったのは、他に、関連の未完が増発した事もありました。



江戸川乱歩の作品を理解し、二次作品を作るのは、思ったよりも難しかったのです。


二人用の小さなテント…

私と楽しもうとはしゃぎながら作られたのでしょうか…

待ちくたびれてしまったのでしょうか?


少し…眠らせてあげましょうか。


ポットのお茶をカップに注ぎました。

甘いリンゴとダージリンの優しい薫りが漂いました。



「ああっ…お腹すいたよぅ…」

香りにひかれて作者が目を覚ましました。

サンドウィッチを広げます。

作者は嬉しそうにサンドウィッチを見つめながら曲を再生しました。


『コネクト』

この曲は日本の音楽ユニットClariS(クラリス)さんのシングル曲で2011年にリリースされました。

アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニング曲として現在でも人気のある名曲です。


「ホント、この数年、クリスマスの1か月前になると有明くんの告白シーンを何度も思い返して悶絶したわよ。」

作者はタマゴサンドに「あら、おいしい」と独り言のように呟いてため息をつく。


アニメ『まどかマギカ』は、魔法少女ものですが、悲劇のループを繰り返す少年向けの物語でした。


悲劇の無限ループ


作者には、有明くんのフラれるシーンがあのアニメの未来のように悲劇的に感じるのでしょうか?


「そうですね…でも、高校編が中途半端で、いきなり2025年の話しなんて始めるのですか?」

そんな事…批判が来ないか心配です。

「仕方ないでしょ?もう、何回も、何回も、クリスマスに雪の中で有明の失恋の涙を一緒に味わってるんだもん。

それに、続きがないより先がわかった方がいいって人もいるじゃん。

今回の連載で、あの続きを書いて行けばいいのよ。」

と、お茶を飲む。

「批判が…来るかもしれませんよ?」

「あらすじにネタバレアリって書いとくわよ(T-T)

去年、なんとかまとめようとして未完を増やしたんだし、もう、これしかないんだもん。

今、決断して始めないと2025年が過ぎちゃうよ。

私、清貴だけは万博の大阪に言ってほしいのよ。」

作者の切ない願いが胸をつきます。

友人との約束のために小説でお金を稼ごうと7年…

500円を稼いでも、いまだに手にする事も出来ずにもがいているのです。


本来なら、あの話も既に完結し、この活動も今年で終わるはずでした。


それが叶わないと知ってなお、続けると決めた作者の夢を…私は叶えてあげたくなりました。


「わかりました。協力しましょう。

けれど、今回は、短編、冬の童話祭の投稿作品を目指しましょう。」

そう、イベントの投稿作品なら、作者は完結できるのです。

「短編…は、無理だと思う。私、有明と『パノラマ島奇談』の二次を狙うつもりだから。 」


「パノラマ島奇談…江戸川乱歩の作品ですね。」

私は不安を感じながらも、今まで、江戸川乱歩の二次作を作ろうと考えていた作者の思いに胸の痛みを感じた。

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