ゲームシナリオ9
「弥助を外国人の…ゲームプレイヤーの目のかわりにするなら、もう少し、コミカルで海外から来た感じを出した方がよかったんだと思うわ。」
作者が話始めました。
「そうですね…海外の方からしたら、不思議な世界に違いありませんからね。」
お代わりのコーヒーをカップに注ぎながら話しました。
「うん。そして、弥助が『誰』に話しかけているのかを明確にするべきだったと思うわ。」
作者はコーヒーを美味しそうに飲む。
「誰か…とは?誰でしょう。」
「アレッサンドロ…と、言いたいけれど、架空の人物にしなくてはね。彼はゲームプレイヤーと弥助の情報を聞くことになるはずだから。」
作者は笑う。
「謎の宣教師…何となく、悪役風味ですね。」
「まあ、日本人にとってはね。あのゲームはシリーズものらしいから、私の話とは合わないけれど、やはり、外国人の弥助は日本人とは戦わせない方が良かったと思うわ。」
作者は渋い顔をする。
「確かに、日本人からしてみたら侵略者にしか見えませんからね。」
私もため息をつく。
多分、悪気はなかったのだと思います。
何となく、時代劇を参考に、殺陣シーンを想像したのでしょう。
「うん。こう言う時って、日本側の話と、海外の話を2つ作って、強大な海外からの驚異から弥助が日本人を守るって方がスッキリしたと思うのよね。」
作者はため息をつく。
「そうですね。宇宙人の話などでもそれがテンプレでしたね。」
懐かしいSFの物語が脳裏をよぎります。
「宇宙人…かぁ…まあ、確かに、そんな感じね。」
作者は笑い、皿を片付け始めます。
私も、残りの皿をもって続きました。
「確かに、宇宙人は分かりやすいわね。」
作者は皿を洗いながら呟く。
「皿洗いなど…私がしますのに…」
ぼやく私を作者は楽しそうに見上げる。
「まあ、いいじゃない。考えるとき、手を動かしたいタイプなんだよね。」
作者は皿を洗いかごに並べ始める。
「二重の話にするなら…的も2人になるのでしょうか?」
皿を吹きながら聞いてみる。
「違うよ。我々は『猿酒』のアンコールを作るんだもん。
これは、これで普通に話を作るわ。
弥助は外野から見ているだけなのよ。」
作者は苦笑する。
「そうでしたね…我々は利休と刀について考えていましたね。」
「うん。まあ、ここは弥助の話を盛って行くわ。」
作者は皿を洗い終わって手を拭く。
「どんな話になるのでしょうか…」
少し、楽しくなってきました。
「まあ、ゲームシナリオを考えるから、マルチエンディングにしようとおもうのよ。
弥助は信長の影武者と福知山へと向かう設定にするんだけど、
我々の信長は、女性とみまごう美しい青年設定にするわ。
それで、選択肢によって、男女の性別が変わる話にしようと思うのよ。
なんか…ゲームのシナリオって、そんな感じだった気がするのよね…
今は、なんか、違うみたいなんだけど…良くわからないから、マルチエンディングで考えてみるわ。」
作者が自信なさげに笑った。