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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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ゲームシナリオ8


夕方の雨は優しく愛しい人を引き留めてくれます。

灯りがわりにアロマランプを炊き、甘い香りのコーヒーを。


執筆中の作者を邪魔しないように、そっとテーブルに置きました。


「ありがとう。」

作者が少し眠そうな顔で私を見ました。

「夕飯は、シーフードのシチュウを用意します。」

私の言葉は、強引には聞こえなかったでしょうか?

作者が困らないか、発してみて心配するのです。

「え?悪いね。」

と、嬉しさ全開の笑顔にこちらも笑顔になるのです。「いいえ。好きでやってることですから。」

ああ、早く夕飯を準備しましょう。

勿論、デザートもつけて。

「そうもいかないよ。男女は平等なんだよ…コンプライアンスが大変らしいし。」

いきなり、作者は何を言い出すのでしょうか?

「空想の人物を使役したところで、コンプライアンスで批判なんてされませんよ?」

貴女が作るズボラ飯では、30分もしないうちに終わってしまうじゃないですか。とは、言えません。

そんな私に作者はやれやれ顔をする。


「いや、最近は、そうでもないらしいよ。今年はゲームシナリオが随分、酷評されてるもん。」




ニンジン入りのコールスローは、グレープフルーツのドレッシングで爽やかに。

シチュウは作者の好きなイカを多目に。

パンは少しおしゃれにクロワッサンを。


カロリー少な目で大盛りを。


「でさ、うわさのゲームの弥助なんだけど、ネットで批判された部分について考えるわ。」

作者がサラダを食べながら言いました。

「はい。」

「うーんと、ね。リリース前だから、内容はわかんないんだけどさ、設定だけでだと、外国作成のゲームなんだから、確かに主人公は弥助で良かったと思うの。」

作者が少し、考えながら言いました。

「そうですね。19世紀のイギリスの話を作るとして、我々が夏目漱石を主人公にするようなものですからね。」

「うん。昔はそうゆう設定の話は多かったよ。

太平洋戦争で交流が一度途絶えていたし、スパゲティの事すら、怪しげにしか日本人は知らなかったんだもの。

でも、これは読者がだれか?で決める設定なんだと思うわ。」

作者が少し、迷うように首をかしげる。

「読者…ゲームの場合、プレイヤーですね。確かに、ネットでは、ゲームの購入者が批判していた印象でしたね?」

「うん…あの場合、国や、文化圏でも意見が変わるんだとは思うわ。

でも、あの騒動をネットで見てきて思うのは、実在の黒人が誰も炎上案件では登場していなかったの。

なんか、黒人って、暴力的なイメージの印象が何となく、あったけれど、この騒動では、そんな事はなかったわ。

それに、黒人でひとくくりにするのがダメな気がするのよ。

我々、黄色人種だって…比較的、文化の近い中国と日本だって、全然違うじゃない?」

作者がため息をつく。

「確かに…(くだん)のゲームの動画で、間違いに中国のものがあって炎上していましたよね?」


例えば、箸の置き方も縦か横か…中国と日本では違うそうなのです。


「うん。私も、驚いたわ。でも、ゲーム会社の人にも同情したわ。

私だって、小説書くまで、イギリスとフランスについて、良く理解してなかったんだって、何度も泣きそうになったもの。」

作者は渋い顔で笑う。

「それでも…貴女は、頑張っているじゃありませんか。」

そう、こうして、止まった作品を動かそうと努力している。

「うん…たまにさ、何してるんだろう?とか思っていたけれど…ゲームの製作の色々を見ていたらさ、私なんて、まだまだだって思ったわ(T-T)」

作者はクロワッサンを千切りながら叫ぶ。

「歴史小説でも、構想10年なんて言うのはたくさんありますし、なろうでも、書籍化作品を良く観察すると、何年にも渡って更新されている方が多いのですよ。」

そう、私達はまだまだ、道半ば。

「そうね…ゲームと違って、損失なんて、古本とかペンとか微々たるものだもん…ああっ、でも、味噌おでんくらい食べたいわっ。」

作者が頭をかきむしる。

「やめてください。味噌おでんくらい、私が作りますから。」

「もう、それじゃ、ダメなのよっ。小説で稼いだ金で、名古屋で食べるのっ。

凄く、物凄く難しいけれど、やりとげたいのよぅ。」

作者が渋い顔で天井を見上げた。

「でも、モーニング分は稼いだじゃありませんか。」

私は、作者を慰める。

「うん…電子の中ではね、でもっ、あと、50円足りなくて、買い物できないから、絵にかいた餅なんだよ…味噌おでんを餌に、作品を作らなきゃ。

さあ、弥助について考えよう。」

作者は笑った。

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