ゲームシナリオ4
「だめよ、ピンクレディーの曲は、
著作権で守られてるんだからっ(>_<)
あくまでも、夢がかなって、夏アニメが製作されたとき、主題歌で流れて『イメージ』ってところで止めないと!」
作者が青ざめて私を見る。
「大丈夫ですよ。特別、オリジナリティのある『ジパング』の説明は歌詞にはありませんから。」
ピンクレディーの『ジパング』の歌詞を製作されたのは阿久悠先生です。
昭和の名曲の作詞を多く世に出した作詞家であり、作家です。
この曲がリリースされた頃は、海外のトンデモ日本のイメージが日本でも流行した時代でした。
この曲は、そんな当時流行したマルコポーロの黄金帝国をイメージした歌詞の様に思われます。
「う、うん。ついでに、エンディングもピンクレディーをイメージしてるんだ(^-^)」
作者は少し恥ずかしそうに告白する。
「ピンクレディー…確かに、懐かしくて、ラノベ映えしそうですよね。」
少女時代の作者を思い出して気持ちが柔らかくなります。
「うん…まあ、作品に使うとなると、歌詞を変えなきゃいけないんだけど…弥助のキャラを考えるには参考になるんだ。」
作者はおずおずと話す。
少しだけ、嫌な予感が沸いてきました。
「どんな曲でしょうか?」
私の質問に、作者は再生で答えた。
明るいポップな曲が流れて…私は頭が混乱してきました。
その曲は『スーパーモンキー孫悟空』
1977年TBS系列で放送された人形劇のテーマソングでした。
「これ、既に、他の作品のテーマソングじゃないですかっ!」
「だからぁ〜イメージなんだって(>_<)
いいじゃん…今回は、ゲームのシナリオなんだもん。使わないし、私の成績じゃ使えないもん。でも、底辺なんだから、夢ぐらい見てもいいじゃん。上位ランカーが口に出せない様な大きな夢くらいさぁ。
なろうの人気の主人公も上手く書けないのに、弥助、昭和のヒーローにしなきゃいけないんだもん。」
ああ、ソファーに転がって暴れだして…でも、他のお話のテーマソングをイメージしたら、困ったことにならないか心配です。
「スーパーモンキーって…弥助を猿扱いなんてして、批判が来るのではありませんか?」
少し視点を変えて聞いてみました。
「そこは大丈夫。作品では書かないし、日本や、一部の海外でも…人間の身体能力を越えた動きを称賛するときに『猿』を使うし、日本や、エジプトでも猿は神の化身だから。
ついでに、秀吉が猿で信長に好かれて天下統一まではかってるもん。
これで足りなきゃ、ナポレオンも『コルシカの猿』って言われてたんだよ?
成り上がりと猿は、カッコイイイメージあるんだから。」
作者はスクッと座り直して嬉しそうに私に笑いかける。
この、間抜けな犬みたいな顔…本当に、憎たらしいのに、かわいいと思ってしまうのです。
「わかりました。まあ、制作中のイメージなら、良いことにしましょう。」
いいんです。私は負け犬です。
でも、作者が批判を受けないように気を付けなくては…
最近、なんだか、なげやりな感じの危うさがあるのです。
作者は私の心配を知らずに、アラベスクの『ハロー・ミスター・モンキー』を再生し、70年代はモンキーブームだったとか説明し、モンキーダンスを踊り始めました。
モンキーダンスとは、1960年代に世界的に流行したダンスステップの一つですが…時代が少しずれています。
「モンキーについては分かりましたから、座ってください。甘いレモンティーをいれましたから。」
私の台詞に、作者は我に帰ったように恥ずかしそうにスゴスゴ座る。
レモンティーを飲みながら、ふと、疑問が生まれた。
「猿…昭和の主人公なら、ゴダイゴの『モンキー・マジック』の方が有名でしたよね?どうして、ピンクレディーの曲なのですか?」
私の質問に、作者はやれやれ顔で私を見た。
「あれは、カッコイイ孫悟空の歌じゃない。
私は、ピンクレディーが歌いたくなるような、カッコイイ弥助を作りたいのよ。」
作者はそう言って紅茶を飲んだ。