ゲームシナリオ3
「マカオ…インドじゃないわね(-"-;)」
作者の口数が減る。
「チャーチワートをはずされたら…いかがですか?」
そう、なんでも入れていては話が出来ないのです。
「それは出来ないわ。インドに太平洋の情報があった事が大事なんだもん。」
作者は叫ぶ。
「大事なんだもん…て、それで話が止まれば本末転倒です。」
と、言葉は厳しく、しかし、コーヒーのおかわりとチョコレートをそっとテーブルに置くのです。
「それを言われると辛いけど…
ゲーム会社の人なんて、10年近く製作にかけるんだそうよ。それでも、うまく行かないこともあるんだって…」
「Web小説は、更新が多く、サックリと手早く作る方が高評価に繋がります。」
私の言葉に作者は頷く。
「確かに、短編でまとまり良く更新する方が評価貰えそうだよね…(´-`)
ぶっちゃけ、評価って、サービス料みたいなもんだから、次に来るって期待が無いと、払わくても良いなら、面倒くさいもんね。わかる。」
私の言葉は、変なところに突き刺さったようです。
どうしましょうか…
思案しているうちに作者が話始めた。
「でも、そんな事は、ある程度の力がついた人がやる事だよ。付け焼き刃で策に溺れてもエタると思うよ。
今回、将来、ゲーム製作を視野に作る物語で、エチオピアやインド、インドネシアにも興味をもってもらう…そんな世界観で作る、シナリオライターをイメージして話を考えないと。」
作者はそう言ってコーヒーを口にする。
また、新しいキャラクターと遊んでいるのですね。
80年代の居酒屋で夢を語りながら、夢を語るシナリオライターが見える気がしました。
私も黙ってコーヒーを飲みます。
この沈黙の心地よさ…
作者の息づかいに安心するのです。
「私、色々考えて、アッチコッチにぶつかってるけど、弥助を作るのって、やはり、難しいんだと思う。
ほぼ、史実がないから、空想で埋めないといけないから、気に入らない人には不快に思うんだろうし。
だから、子供が視聴の中心で、近くの大人が、どうして私の弥助がこうなったかを解説できなきゃダメなだと思うんだ。」
作者は懐かしげにコーヒーを見ながら呟いた。
「明智小五郎シリーズをお父様が解説していたように…ですか?」
私は、少女時代の作者の事を思い出していた。
かつて、家庭にテレビが一台の頃、チャンネル権は父親が持ち、そして、よく大人や、兄弟が聞きかじりの解説をするのでした。
「うーん…そうなんかなぁ〜
どちからと言うと、昔の勇者伝説の現代版ってイメージなんだ。」
「勇者伝説の現代版?ですか…」
「そう。テレビが無かった時代は、年寄りの昔話がエンタメで、そこに登場する勇者から話が始まったじゃない?」
「はい…」
「で、さ、伝説が、実は作り話じゃなかった…風味の展開になるわけよ。」
「はあ…」
「でも、私の世代になると、テレビアニメがエンタメで、伝説の勇者はゲームの世界に行っちゃって、リアルワールド…本格ファンタジーの世界を思い描けなくなってるんだわ。」
作者はため息をつき、そして、チョコレートを口にいれた。
「つまり…昔のファンタジーの設定を現代風にアレンジしたい、と、言うことでしょうか?」
と、口にして見ても、よく理解できていません。
「まあ、そんなところかな(-"-;)
とりあえず、80年代子供だった、祖母祖父世代を捕まえたいのよ。
我々の伝説の歌なんて、もう、JーPOPなんだもん。」
作者はボヤいたが、私は、なんだか理解できてきました。
「ああ、だから、ピンクレディーの『ジパング』なんですね。」
そう、子供の頃、好きだった、物語のある曲が、大人になってより長い物語として記憶の世界から甦る…その感覚は、なんとも言えないファンタジックな雰囲気を醸すのです。