ゲームシナリオ
雨です。
秋の雨、と、言うには蒸し暑い陽気ですが、既に、10月…そろそろ、作者の公募作の一次選考も結果が発表される時期です。
どんな結果になりますか…
否、結果がわかっているのです。
が、あの作者の次の行動が読めないのです。
最近では、なかなか、こちらにも来てはくださいませんし、
このまま、忘れ去られてしまいそうで、少し、寂しくも感じるのです。
コーヒーを作りながらの物思いは、少し、甘さのあるほろ苦い気持ちになります。
本日は、モカを。
一昔前には、喫茶店で頼むと言えば、モカ、でしたが、最近は高級品になってきました。
ドリップします。
優しい香りが私を慰めます。
今日のデザートは何を用意しましょうか?
コーヒーをカップに入れると、作者が裏庭からひょっこり現れました。
カップを…作者の為にカップと…何かデザートを探しましょう。
「なんかね、弥助のゲーム、危機なんだって。」
作者はクッキーをサクサクと美味しそうな音をたてて食べながら言いました。
「発売が延期されるのでしたね?」
私の答えに作者が渋い顔をした。
「なんか、弥助の存在事態、消される可能性もあるんだって…それもなんだかなぁ〜っておもうのよ。」
作者は不満げに頬を膨らませる。
「それは、大変ですね。」
「うん。なんか、もと案では、服部半蔵が登場するとか噂があったけど、私は、弥助推しなのよ。設定は違うけれど。」
「随分と不満がたまってそうですね。」
「あら、そうでもないわ。不満はあるけど、ここに来て、攻略不可能に思えた、ジャンルVRゲームに投稿できそうなんだもん。」
作者の笑顔に未完の予感が込み上げます。
「新ジャンル…ですか。」
「そんな嫌な顔しないでよ〜ここで考えた事をゲームのシナリオっぽく書き直すだけだから。
別に、それほど人は見ないだろうし、整理用に書くだけだって。」
作者は笑った。
「未完が増えますよ。」
「まあ、ね。でも、全ジャンル制覇は、夢だし、変なゲームっぽい話を投稿するより、いい気がするんだよね。」
作者は笑う。
「…それで、どうするのですか?」
私の質問に、作者はノートを取り出した。
「まず、好きに書いてみようとおもうのよ。
これを逃したら、もう、ゲームシナリオなんて思い浮かばない気がするもん。」
「そうですね。」
確かに、作者はゲームは好きではありません。
「うん。イメージは80年代のRPGかな。それくらいだと、『おやくそく』も少ないだろうし、手探りかんもあるし。」
作者は笑う。
この笑顔に…私は弱いのです。
ああ、ため息と共に批判するのを諦めてしまうのです。
「で、どんな風につくるのでしょう?」
「今回は歴史物だし、大筋は見えてるじゃない?
80年代の雰囲気を醸して、素人の手探りかんを出しながら書いて行くと、あのジャンルでも批判は少ないとおもうのよ。」
作者は嬉しそうにペンを走らせる。
「80年代の雰囲気…ですか?」
「うん。基本は冒険もの。あの頃は…ゲームよりアニメの方が人気も認識率も高かったし、今より、漫画や小説に寄せた内容で釣っていたのよ。」
と、作者は昔話を懐かしそうにする。
「そうでしたね。基本、ゲームは、知っている物語の、見えない部分を掘り下げるイメージで作られている印象でしたね。
もしも、自分が主人公なら、
海賊として
騎士として
泥棒として
探偵として
どう行動するだろうか?
それが基本だった気がします。」
「うん。昔はドット画で、画像で魅せられない分、内容を重視していた気がするわ。こうして、考えてみると、私でも、見えない部分が理解できてくるのね。」
作者は笑う。
「そうですね。確かに、シナリオライターも、機械の性能を考慮して話を作る必要があるのですね。」
なんだか、少し、楽しくなってきました。
作者の弥助は…どんな冒険を繰り広げるのでしょうか?