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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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コンタクティ24


穏やかな休日の朝。

私は作者の為にコーヒーを淹れています。


本日は、久しぶりにホットを。

インドネシアが原産の甘い香りのマンデリンをベースにした、お気に入りのあの店の秋の新作を。


そして、デザートは終わり行く夏を忍びながら、メロンのジュレを用意しました。


少し曇った天気ではありますが、その分、涼しく、家でリラックスするには素敵な陽気です。



リビングでくつろぐ作者に会釈をしてテーブルにコーヒーカップを置くと、作者は食いつくように私を見て言った。


「ねえ、なんかさ、最近噂の弥助のゲーム、忍びと侍の二つの要素を一人にまとめより、2人にわけて話を作りたかったんだって。」

作者は私が隣に座るまで私の様子を伺っていました。

「まあ、様々な設定はあると思いますよ。設定に正解はありませんから。

でも、このメロンのジュレは正解だと自信をもって言えますよ。」

私は、クリームを添えた美しい足のあるガラスの器を作者の前に差し出した。


「綺麗…」

と、息を飲む作者の顔に、苦労が報われる気持ちになるのです。

「召し上がれ。」

隣で私はコーヒーを口にしました。

嬉しそうに作者は生クリームを口にする。そして、コーヒーに砂糖(2つも!)と、ミルクをたっぷりと入れてかき混ぜながら話を始めた。


随分と悩まれているようです…


「そうね、でも、だからって弥助を怪しい侍もどきにしなくても良かったと思う…いや、この場合、日本人が愛する『侍』の様式を表現できる能力がないなら、『見習い』とか、『もどき』にするべきだったと思うのよ。」

作者は渋い顔をした。

「何が言いたいのでしょうか?」

「創作活動の1つよ。ほら、海外の歴史物を書くことはあっても、日本の歴史物を海外の人が書くって、そう無いし、ここまで様々な感想を見ること無いもん。

私も騎士団とか書くわけだけど、どんな風に見えるのかとか知りたいし。」

作者の回答がまともだったので、なんだか気が抜けました。

「確かに、そうですね。」

「うん。色んな人がそれについてコメントしていたよ。でも、私と同じ意見の人は居なかったな。」

作者はコーヒーを美味しそうに飲み干した。おかわりを入れます。

「どんな設定なのでしょう?」

おかわりのコーヒーをブラックで飲む作者にすこしホッとしながら聞いてみた。

「私は、影武者を考えたの。」

「誰のです?」

私の質問に作者は自信なさげに言った。

「信長?かな。」

「信長…ですか。」

コーヒーを一口、少し考える。

信長の影武者…弥助の代わりは難しい。この場合、信長の庭番の意味合いなのでしょうか?


「うん…様々なコメント見ていてさ、ここでガチの侍を書くのって難しいと思ったのよ。

私の場合、黒人、ハーフを含めた高校生が書く設定だから、偽の侍…影武者が便利に見えたのよ。


まあ、色々、前に設定しているし、それを含めると、戦で家が崩壊した武家の嫡男で、織田家を恨んでいる。


で、殺される前に、忍の者に預けられて忍者として育てられるのよ。


そして、8つを過ぎる頃、影武者として武士としての教育もされるのよ。」

作者はシドロモドロと話す。でも、なんとなく好感がもてる設定です。

「しかし…仇の影武者になるなんて、おかしくは無いのでしょうか?」

私の質問に、作者も困った顔をしながら話始める。

「この頃は、敵味方が入り乱れるから…問題は少ないと思う。寧ろ、暗殺を計画して配置された…設定みたいな。

まあ、嫡男として生まれた信長は、でも、跡継ぎとして親から認められて居なかったみたいなのよ。

エビデンスは無いけど、弟の信行と、家督をめぐって戦ってるから、過信も含めて分裂はしていたと思うわ。


影武者は、始め、暗殺者として役を任じられるんだけれど、この内紛で、母親が信長を嫌ったために頓挫するの。」

作者は安心したようにため息をつく。

「なるほど、暗殺と言うトロイの用な役目が封印され、本来の影武者として育つわけですね。」

「うん。その上、信長は、わりと自由に生きてきているから、細かい作法を間違っても読者はスルーしてくれる。うん。利休よりは(T-T)」

なにも、涙目で叫ばなくても…

「確かに、高校生でも書きやすいかもしれませんが、どんな話になるのでしょう?」

全く物語が浮かびません。

「弥助の話を作るのよね?侍と忍者の魅力的な話を…

で、彼の目で日本をみるのよね?」

作者は苦笑する。

「はあ…外人の脚本家が主人公を考えるには、その方が良かったのでしょうね。」

作者は大丈夫でしょうか?心配になります。

「まあ、我々も戦国時代なんて知らないし、学生が考えてると思えば、弥助の方が楽だと思う。


弥助→宣教師

web作家→読者


この流れだから、悠長に話す知的キャラより、たどたどしい、よく世界観を理解してないキャラの視点が書きやすいのよ。


あのゲーム、間違いは弥助をなんか、凄く日本に詳しい人物に設定したことよ。

こうして、私が調べただけでも、信長の叔父さんの信次が馬で一人で行動していて挨拶しないから殺されちゃった事件が出てきたもん。

信長、『単騎で行動するのは軽率』って言ったんだって。その信長につかえてたら、織田家のこの惨劇は家訓のようにされていて、知ってると思うの。

のんきに単騎で旅とか…絶対怒られるわよ。


だから、皆が呆れて、仕方ないと思わせるキャラにしておけば、作者の失敗でキャラが恥ずかしい思いをしなくてよくなるじゃない?」

作者は少し興奮して言う。

「そうですが、格好よくないと、海外うけしないのではありませんか?」

少し、心配になります。

「それは大丈夫。日本の時代劇は『能ある鷹は爪を隠す』のギャップが人気だから。

殺陣(たて)を格好よくキメれば、大概は許されるから。それに、海外どころか、サイトの読者すら、読まれるの大変だもん。完結以外考えないのっ(>_<。)」

作者はコーヒーに慰めを求める。

「そうですね。で、弥助と影武者はどうやって出会うのでしょうか?」

コーヒーを入れながら聞く。

「病気か、何かで出掛けられない信長の代わりに福知山方面へ行くことになるのよ。今と違って写真とか無いし、信長の素顔なんて、我々も知らないじゃない?

でも、弥助をつれて行けば、真実味が出るし、信長の関係者だと証明もできるもん。」

作者はそう言った。

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