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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
427/499

コンタクティ3


穏やかな休日の午後。

とびきりのブレンドコーヒーを淹れて私は作者と楽しいひとときを過ごしていました。


少し濃いブラジルブレンドのコーヒーを飲み干すと、作者はYOASOBIの『勇者』をかけました。


この曲は、人気アニメの主題歌として話題になった曲です。


「この曲が主題歌のアニメ…勇者が死んだ後の長命種族のエルフの話なんだけれど…

私はこの曲に…利休を思うのよ。」

作者の夢見る顔に、利休の生涯を思い返しました。


堺に生まれ、信長がやってきて茶頭になり、そして、彼が亡くなると秀吉と共に天下統一する日本を中央で見つめていくのです。

が、秀吉の不況をかい、切腹を命じられるのです。

「確かに、利休は長生きでしたね。でも、勇者パーティなイメージはあまりありませんが。」

私の言葉に作者は苦笑する。

「勇者パーティ…じゃないけれど…利休は喫茶店のマスターでも、バーテンダーでもなく、政治の中央に位置した人物だわ。」

「確かに、そうですが。」

切なげな曲が、当惑する私の耳を通り抜けて行きます。

「そう、そして、ここからは『猿酒』の続編の物語よ。」

作者の台詞を懐かしく思い返しました。

『猿酒』は、我々のごく、初めの作品です。

「懐かしいですね。」

「うん。あれは…ユニーク100を越えようとあがく私の二度目の100以上作品で…評価もたくさんもらえた、思い出のある作品よ。」

作者の優しげな笑顔に当時を思い返しました。

あの作品は、公式企画の出展のため、結構、混乱しながら書いたものでした。

「そうでしたね。」

「評価のお返しに、気のきいた短編のアンコールを考えたまま、数年が過ぎてしまったわ。」

作者の台詞に思わず笑ってしまいます。

「もう、そんなに笑わなくても良いじゃない。コーヒーのおかわりお願い。」

作者の願いにモカブレンドでこたえます。


「『猿酒』は、秀吉と利休のオカルトもので、あの世界観の2人がどうなるのか…それを今回、投稿したくもあったわ。」

作者はモカの香りを思いきり吸い込む。

「でも、諸事情で諦めた、と。」

「もう、仕方ないでしょ?面倒だったんだもん。

利休の辞世の句、あんなんだし…それに、あなたとここで話せば良いかって思ったのよ。」


(///ー///)…


「それは…すいません。」

私は嬉しさをコーヒーカップに隠すようにモカを飲む。

「謝る事じゃないけどさ、これが、複雑なんだよ〜ついでに、あんたと話してると、また、新しいネタがでてくるし。」

「人生五十…ですか?」

「うん。なんか、人間50年が正しいみたいだけど…まあ、良いわ。

昔は、利休はとても無念な死に方をしたんだと思ったの。でも、年を取って、友人を亡くした現在、死は恐怖だけではなく、安らぎでもあると悟ったわ。」

「安らぎ…」

私は真剣な作者の瞳に胸をつかれました。


死…その安らぎは、おいて行かれる人間には、哀しみです。

「うん。利休の生きた時代は、死に様の美しさを大切にした時代だと思うのよ。」

作者の笑顔に…私は返答できずにコーヒーを口にしました。


貴女の美しい死に様には、私の存在はあるのでしょうか?


「昔の、当時の長生きは50年と考えるわ。現代では、70歳くらいの感覚だと思うのよ。で、戦国時代だし、混乱や、時代的な状況を踏まえると、平均は40歳まで生きられなかったと考えるわ。すると、当時、70歳まで生きた利休は、早死にする人の約2倍の寿命を持っていた事になるわけで…

エルフじゃなくても…仙人みたいな気持ちで、生き急ぐ人たちを見守ってきたのではないかしら?」

作者は少し戸惑うような悲しい顔で、YOASOBIの『勇者』に耳を傾けた。


この勇者が、信長だとしたら、随分と、性格が違う気もします。

『勇者』に歌われる勇者は、信長のように比叡山の焼き討ちや、油攻めはしないと思いますから。


どちらかと言うと、信長は第六天魔王とか自称していますから、敵キャラに思えますが、


ふと、ここで1人の人物を思い浮かべました。

豊臣秀長…秀吉の弟で、利休と共に豊臣家を支えた人物です。


それでは…倒した魔王とは…


伽噺(とぎばなし)とは…お伽衆の話と言う事なのでしょうか?


お伽衆…起源はわかりませんが、戦国時代でその存在を強くしました。

特に、平民から成り上がり、読み書きが得意ではなかった秀吉は、多くのお伽衆を抱え、エンターテーメント的な話をさせたりもしたようです。

そこから、童話の不思議な話を『おとぎばなし』というようになった、とか。

お伽衆が語る利休の物語…

彼の愛した勇者とは、秀長だとしたら…


敦盛のあの一説のイメージの印象も変わります。


『人間50年、化天のうちにくらぶれば夢幻のごとくなり』


利休が切腹する少し前、2月に秀長は病死するのです。享年52歳


彼をこの句に合わせて対で読んだと考えるなら、

利休の辞世の句のイメージも変わる気がしました。

私がそんな話をすると、作者は楽しそうに笑いました。

「面白いわね。でも、私、利休と秀長のBLなんてかけないわ。」

「BLなんて!」

「冗談よぉ〜って、でも、あなたの話は、少し、艶っぽく聴こえるわ。」

作者は含み笑いを漏らしながらコーヒーを飲む。

「意地悪を言う子には、特性プリンをあげませんよ?」

「特性プリン(°0°;)」作者の反応が可愛かったので、プリンを取りに行きましょうか。

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