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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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アペリティフ

カクテルとは…基本、お酒にジュースや果物を混ぜて作られた飲み物である。

現在のカクテルの様式が整うのは、1920年、アメリカの禁酒法により、アルコール飲料を隠して飲む為に発展した、と、言われています。


私は、今、旬の蜜柑を取り出しました。

半分にして果汁を絞りだし、ブドウのフレイバーの炭酸水をシャンパングラスに派手に流し込み、さっきから、興味津々な作者の目の前で絞りたての蜜柑の果汁を注ぎます。


「なに?それ。」

作者は子供のような笑顔で私を見ました。

食前酒(アペリティフ)…と、言いたいところですが、これはノンアルコールのカクテル。食前酒の『(しゅ)』の字が、美しいの意味がある『(たま)』の字を使った食前珠です。」

そう、短くて、為になり、検索にかかりやすい、ちょっとした知識系の物語を考えていたのです。

アルコールを隠すために発展したのがカクテルですが、アルコールが飲めなくても楽しめる…Nカクテルのススメと言うのは、どうかと考えていたのです。

「食前珠ねぇ…。まあ、旨ければ何でもいいけれど、とりあえず、ウンチクをお伺いするわ。」

作者が楽しそうに笑う。

「これは、華やかなカクテル『ミモザ』をアレンジして作りました。」

フルート型のシャンパングラスの脚の部分を軽く持ち、優雅に作者に差し出しながら言った。

「ミモザ…かぁ。あれって、シャンパンベースのお酒よね?だから、結構高い飲み物だって記憶があるわ。」

作者が嬉しそうにグラスを手にして笑う。

「そうですね。シャンパンをベースに作るカクテルは、シャンパンを開ける…と言う行為がある為にたかくつきますからね。」

そう、シャンパンとは、発酵し、炭酸を含んだワイン…スパークリングワインの中でも、シャンパン地方で作られた飲み物。


シャンパンを1本開けなくてはいけませんから、ミモザが高いのは仕方ないのです。


「炭酸水と蜜柑のこれは、『ミモザ』じゃないわね?」

「はい。『ミモザ』は、『リッツ・パリ』で作られたのが始まりの上流階級の紳士、淑女の愛した飲み物。シャンパンを使わないコレには、新しい名前をつけるべきでしょうね?

どんな名前が良いでしょうか?」

作者に名前を聞いてみました。

「ミモザは、春に開花する小さな花よね?

じゃあ、この飲み物も、花の名前にするわ。」

作者はそう言って少し考えてから、あっさりとこう言った。

「まんさく。マンサクにしようよ。なんか景気がいいし…これ飲むと、なんか、楽しくなるもん。」

作者は嬉しそうに笑った。

「そうですね。マンサクは万咲く…絶えず投稿をし続ける我々にはいい名前かもしれません。」

そう、1つでも多く…評価を貰える作品を作り出して行きたいのです。

「うん。万の価値のある作品…夢だわ…。」

「万って、お金でしょうか?なんだか下品な感じですね?」

「いいのよっ。夢なんだから。作品価値300円の私の夢なんだもん。月より遠い夢なんだからさ。」

作者は少し涙目で天井を見上げ、シブイ顔で私を見る。

「そうよ、カクテル作って受かれてる場合じゃないわよ〜ベルフェゴールを何とかしないと!あの連載を終わらせなきゃ、何も始まらないわ。」


そうでした。あの悪魔の連載に完結ボタンを押さなければ、私の出番が減るばかりです。


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