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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
382/500

悪霊3

雨の降る…少し騒がしい夜。

作者は灯りの下でノートとにらめっこしています。

9月と言っても蒸し暑い陽気。爽やかなアイスティを作ることにしました。


本日はダージリンをレモンティにして見ました。


「ありがとう。」

作者は私に笑いかける。

「どうですか?」

私は作者の横の椅子に座り、執筆状況を聞いた。

「沼に…沼に…落ちそうだよ(>_<。)まさか、クリスティまで登場するなんてさぁ。」

作者は悲鳴をあげる。

「乱歩に正史にドイル、それに、クリスティ!豪華ですね。」

私は笑ってしまう。

作者は、夏ホラー向けに書いていた乱歩の『悪霊』の物語の方向転換に四苦八苦している。

「笑わないでよぅ…もう、まさか、『オリエント急行殺人事件』が、絡んでくるなんてさぁ…予定にないよ。」

作者は深いため息をつく。

「そうですね、乱歩と横溝の友情物語で上手くまとめておけば…」

「それは無理よっ。だって、ミステリー大賞…の方に組み込んじゃったから、どうしても、リンドバーグの話にもって行かなきゃいけなかったんだもん。」

作者が膨れっ面で私を睨む。

「では、話を考えないと。でも、その前に訂正をいれないと行けませんね。」

私の言葉に、作者は狼を関知したウサギのように緊張する。

「なに?」

「『オリエント急行殺人事件』の説明が間違っていますよ。」

「えっ…(°∇°;)」

「殺されたラチェットは、男性です。」

「(○_○)!!」

「早めに改編しませんと、ミステリー好き…特に、クリスティファンにしかられますよ。」

私はため息をつく。

作者は苦笑しながらアイスティをイッキ飲みする。


「ええっ…どうして間違えたんかな(T-T)」

「複数の傷で、願望が物語を書き換えさせたのでしょうね。」

「そうね…『オリエント急行殺人事件』は、大好きで色々見たけど、覚えてないものね。」

作者は深くため息をつく。「まあ、細かいアレンジが映画やドラマで加わりますから、こんらんしたのでしょうね。」

なだめるように作者に言った。

「そうね…ついでに、びっくりしたわよ、リンドバーグの愛児誘拐事件で、複数の傷のある死体も、密室殺人も関係ないのに、なんで、海を越えたイギリスのクリスティも似たような話を作ったんだろう?って。」

作者は困った顔をしました。

「ダメですよ。江戸川乱歩は、『悪霊』について、リンドバーグの事件を参考にしたなんて、言ってませんし、貴女は、ドイルの『霧の国』で物語を構成していましたよね?」

私は作者に釘をさす。

作者は苦笑して、頭をかきむしった。


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