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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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奇なり…楊貴妃

久しぶりの雨が窓を濡らします。

作者はfly me to the moon をエンドレスで聴いていました。


「なんか、疲れてるわ…明日から仕事だから、うんざりするし…」

作者は辛そうに眉を寄せる。

「そうですね。」

私は、作者の横でこう言うしかありません。

「うん。仕方ないんだよ。で、この気持ちも記録しておかなきゃ使えないわ。」

作者は少し、気持ちを持ち直したように表情を緩める。

「記録?」

「うん。例えば、明日も奴の顔を見ると思うと、嫌な気持ちになるし、攻撃的な感情が込み上げるけど、

奴は、きっと、なにも考えてないと思うのよ。

私が、怒りを向けてるのは、私の作り出した奴の影。私は、相手の事を勝手に『こう考えてるに違いない。』と、決めつけて不快に思っているのよ。」

作者は割りと真面目に自分を分析する。

「そこまで分かってるなら、もう、考えなければいいのでは?」

「それが出来れば苦労しないわ。明日も面倒はあるし、それをとても嫌だと感じているんだから。」

作者はため息をつく。

「では、私に、何が出来ますか?」

疲れた顔の作者が気になる。

「別に…話を聞いてくれるだけで。あなたが聞いてくれると、客観的に自分を見られるし、物語について考察も出来るし、PV上がるから。」

作者の顔に笑顔が戻る。

「はい。」


「まあ、コーヒーでも飲もうよ。ただ、今回の件で、私には劉備玄徳にはなれないのはわかったわ。」

作者の諦め顔になごんでしまいます。

「それなら、私も諸葛孔明にはなれません。」

私は立ち上がりコーヒーの用意をする。

ああ、何か、素敵なワルツを聴きたい気持ちです。



「やっぱり、モカブレンドはうまいね。」

作者は笑う。

「はい。」

穏やかな笑顔にホットします。


「今回、色々あったけど、まだ、終わらないけど…収穫はあったわ。

楊貴妃の見方が変わったもん。」

作者は笑う。

「どう言うことでしょうか?」


作者は楽しそうに話始める。

「私、恋愛ものは得意じゃないし、歴史物の恋愛って難しかったのよ。」

「そうですか?」

「うん。だって、大概、王様とか、猛々しい男の恋ばなじゃん?

で、女は艶仕掛けをするわけだけど…、私、艶仕掛けってした事ないし。」

作者の真顔を見ていると、なんだか笑ってしまいます。


「もう…なに、笑ってるのよ…まあ、いいけど。

とにかく、今回、私、結構、疲れてしまって…もう、辞めても良いかって心境になったのよ。

そうしたら、偉い人がさ、慌てて引き留めにかかるわけよ。

本当に…世の中、人不足なんだね。

その様子を見ていたら…人が、人を引き留めるって、ドラマの誘惑シーンのような激しいものじゃ無い気がしたわ。」

作者はため息をつく。


「それで…楊貴妃を思い出したのですね。」


私は千年以上昔、唐の時代の伝説の美女を思い出す。

楊家に生まれた彼女は、寿王の妻として宮廷に入るが、ふとしたことから、寿王の父にあたる玄宗(げんそう)に見初められるのだ。

「うん。楊貴妃も父親くらい年の離れた男に見初められるわけだから、そうね、今の少女が一番嫌うシュチュね(-"-;)」

作者はそこで黙る。

「確かに。現代はパパ活とか、ネット等を通じて、少女が狙われる時代ですからね。」

ため息が出ます。昔も、その様な性癖の人間が居ないとは言いませんが、人がまとまっていた時代なので、そうそう簡単に接触が出来ませんでしたから。

「そうね。私の時代は、年上って、ほぼ本のロマンスくらい遠かったからな。

ま、それはともかく、年が離れると、容姿以外の…様々な事が影響する気がしたのよ。

玄宗は、若い頃は、良い皇帝として支持率良かったみたいだけれど、楊貴妃と付き合う辺りから、上手く行かなくなるらしいの。」

作者が眉を寄せた。

「恋に…溺れたのでしょうか?」

私は、作者が苦手な濃厚ラブロマンスを思い浮かべる。

「そうね、楊貴妃は、怪しい魅力で真面目な老人を老楽させた…見たいに描かれるわ。

私も、映画や漫画なら、そう言うの好きよ。カルメンとか…。でも、ここで、彼らの生きた時代を…年表を見ていると、また、違い世界につれて行かれるわ。」


作者に言われて年表をみる。

楊貴妃が玄宗と出会ったのは…740年代…


「740年代…」

「そう、日本じゃ、聖武天皇の時代よ。

ここで、登場するのが天然痘…『パラサイト』初回で調べていたパンデミックの話題が繋がるわ。」

作者はニヤリと笑う。


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