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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文
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ダレる

静かな午後でした。

やさしい6月の雨音を聞きながら作者はソファでダレていました。


働き者のケトルがカタカタと蓋を鳴らして仕事の終了を知らせる中、コーヒーを淹れる準備を始めました。


さて、今日は何にしましょうか。


少し悩んで、キリマンジャロブレンドの、少しシャープな粉を選びました。


そろそろ、書きはじめて頂かなくては。


スイーツは、フルーツヨーグルトのアイス添え。

春先に作り貯めたイチゴジャムを華やかに上からかけて仕上げます。




「いつもすまないね…。」

作者は嬉しそうに笑いました。

「いえ、私はこう言う事が好きですから。」

作者の隣に座り、窓の外を眺めました。

最近、すぐに疲れて寝てしまう作者が、こうして来てくれるのは、とても嬉しく…そして、少しだけ切なくもあるのです。


また、私に会いに来て下さいますか?


私は不毛な質問をコーヒーと共に飲み込みました。

「いやぁ、旨いわ。それにしても、最近、なかなか話が思い浮かばないんだ。」

作者はコーヒーカップを置きながら私を見た。

「それでは、何か、世間話でも致しましょう。」

私は作者が興味を持つ話題を考えた。

が、作者は乗り気では無いようだ。


「世間話…かぁ。そんなんで浮かぶかなぁ…。最近、小説書こうとすると眠くなるんだよ。私、スランプじゃ無いかと思うの。」

「スランプ…。」

作者は真顔です。私は込み上げる笑いをコーヒーに詰め込み、飲み込むのに集中しました。


スランプ…ある程度出来る人が、一時的にその作業が出来なくなる…そんな意味だと思いますが…書こうとすると眠くなるとは、どちらかと言うと、宿題を嫌がる子供のようです。


「うん。スランプ。はぁ…やっと、1つ、ネット大賞にあげたばかりなのにさ。スランプなんていってられないよね(>_<)」

「眠くなるスランプなんて、初耳です。疲れているのではありませんか?」

私は少し心配になる。

「うん。疲れても、いる。でも、なんとか今年も頑張りたいわ。AI手塚先生も活動開始するみたいだし、私も頑張らないと。」

作者は嬉しそうです。

「そうですね。」

私は苦笑する。

「うん。もうさ、なんか、色々、達観してバカみたいな夢とか叫べるようになったよ。」

作者は笑いながらヨーグルトの器を手にする。


もう、小さな願いを目標にしたくない。


昨年、名古屋旅の夢が消えた時を思い出しました。

何にしても、やる気になるなら、応援したいのです。


「でも、AI手塚先生『ブラック・ジャック』に挑戦するんだって。なんか、有名すぎて心配だよね。そう言えば、手塚先生と言えば、面白い作品を見つけたわ。」


と、作者が取り出したのは『楊だまりの樹』実在した手塚良庵…手塚治虫先生のルーツに当たる人物を軸に語られる幕末ロマンである。


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