黄金虫
「なんかさ…また色々拾って先に進めないんだけど…ネタバレ含めて語って良いかな(´-`)」
作者は遠い目をしている。「どうでしょう?」
私は曖昧に呟く。
先がかけなくなるより、話してしまった方が良いのかもしれません。
が、ネタバレするのは…残念な気持ちもします…
あくまで、キッチリとしたエンディングがある前提で、はありますが。
作者は少し考えてから、ポツリポツリと話始めた。
「うん…あっち、イベントが終わると、なんか放置した形になるから、今回は書ききりたいし…
でも、ネタバレも寂しいから、もう一つの本の話をするわ。」
作者がはにかむように笑い、私は頭が痛くなる。
「まさか…『ファーブル昆虫記』にも何か仕込んだのですか!」
そう、向こうの話は、少し蛇足をしていた。
こちらの『パラサイト』は、去年の落選作品です。清書と、新しい物語の作成の為、少し加筆をすることにしたのです。
そこで、ゲームシナリオの練習も兼ねて微妙な設定変更を入れました。
ゲームストーリーを想像させる分岐を一つ追加し、回収できてない謎。
失踪したヒロインの『黄金虫』の行方について伏線回収をする予定でした。
ポーの『黄金虫』
そして、『ファーブル昆虫記』
あちらの物語は『黄金虫』で進んでいるのです。
「仕込むって…そんな暇、ある分けないじゃない(T-T)
勝手に広がって行くのよっ…。この話、微妙に『通り魔』にもかかってきてるしさ…拾い物があるんだよね…」
はぁ…と、作者は深いため行きをつく。
「そうでした…ね。」
私は疲れはてた作者の頭を見つめた。
春…この物語の投稿で、少しでも稼ぎたかった事は知っています。
ふざけて止めているわけでもないのです。
「まあ、どちらかと言えば、こちらの本が本命だったじゃない?
はじめは、西条八十の都市伝説を使っていい年してふざけたから、バチが当たったとかパニックになったけど、調べて行くうちにノストラダムスに近づいてくるんだもんね…
八十の恩師が、1917年にプロバンスを旅してるとかさぁ…」
作者が渋い顔で私を見る。
「そうでしたね。吉江喬松の旅の友が『ファーブル昆虫記』を翻訳した小牧近江。なかなか興味深い話でした。」
私は作者と紡ぐ物語を思い出して懐かしくなる。
「うん…。はじめは、こっちで八十ミステリーで書く予定だったじゃない?」
作者は叫ぶ。
「そうでしたね。こちらで調べたボッチチェリの話を軽く披露して…」
私は少し前のやる気のあった作者を思い出して微笑んだ。
「でも…長くなりそうだから、やめたんだよね。まあ、『黄金虫』も結構、予定より盛られてきてるけどさぁ(T-T)」
作者は鉛筆を手に渋い顔をする。
「そう…でしたね。」
私は軽くため息をついて、新しいコーヒーを入れるために立ち上がった。