四大天使
キャラクターを動かしてみて、意外な真実を知ることがある。
世紀末を越え、オドロオドロしい滅亡話と共に語られたノストラダムスは、私の頭の中で共感覚をもつ、小さな少年として生きずいていた。
人前では混乱して、要領が悪い印象だが、それは、元々左利きだったのを矯正されたために、頭が混乱してしまう…設定のようだ。
実際のノストラダムスが左利きなんて史実は無いと思うが、まあ、伝奇なので許容範囲…と、言うことで。
なので、森や林などで一人で…左利きのまま遊んでいるときは、混乱したり、必要以上に聞き返したりしない。
そんな彼を、奈美はチョコレートで手なずけて、倒れた古木に座りながら、ミシェルの事を知りたがっていた。
穏やかに過ごすこの二人を見ていると、自分が登場人物に抱いていた印象が間違いなのを知らされる。
私は、奈美と剛の関係は
(SMの)女王様と下僕
みたいなものだと感じていたが、正解は
審神者とシャーマン
の関係に近いらしい。
まあ、止まっているが「ラノベ作家と予言の書」で、そんな感じの関係にはなっていたけれど、思っていたより、奈美の剛に対する気持ちが優しいものだったのに、作者なのに驚いてしまう。
それはともかく、奈美にしても、私にしても、さっさと本編を動かし、あの恥ずかしい解説をすっかり消してしまいたいのだから、早いところ、進めてしまおう。
まずは、天使についてだ。
全く…下らない短編を書いて終わるはずだったのに…
次話投稿を間違えて、ルターの話まで作ったために、色々な知識が必要になる。
天使、聖人…これ、私の普通の生活には、知らなくても良い知識だが、西洋の物語を書くためには、必要な知識であり、用語になる。
なぜなら、修道士の台詞に
サラマンダーとか、
ウインディ
エルフ
なんて、異世界の生物を使うわけにはいかないからだ。
キリスト教は一神教なので、偶像崇拝は禁止されているし、それに、毎日神様の勉強をしているはずなのに、天使や聖人の名前より、エルフや妖精の名前の方が思い浮かんでは不自然だからだ。
なので、私も調べるし、勿論、ルターもミシェルだって知らなきゃ…いけない。
「私が天使に見えると言ったけれど、ミシェル、あなたの方が天使のようだわ。名前だって…大天使さまからいただいてるのだから。」
奈美は穏やかにミシェルに語りかけた。
この娘はとても声がいい。優しい語り口で彼女の声を聞いていたくなる。
さすが、分数の掛け算を忘れた中卒の健二を、二級建築士にまでさせた女だ。
「大天使ミカエルさまだね。知ってるよ。とても美しい天使で、一番強くて偉いんだ。」
ここで、とりあえず、四大天使について書いておこう。
日本にも、四天王なんて言葉があるが、西洋にも選りすぐりの四人の天使がいる。
ミカエル
ガブリエル
ラファエル
ウリエル
だ。ミカエルは、悪魔サタンと戦う軍の将であり、人気ダントツの天使だ。
基本はサタンと戦う天使らしいけど、人気があり、実力もあるので、ご利益も多岐にわたるようだ。
とにかく、困りごとがあるときは、ミカエルの名前を叫びたいところだけど…
少しでもやましい所があれば、こちらが罰されそうで怖いなぁ…
ラファエルの方が、その点お願いはしやすそうだ。
癒しの天使とも言われていて、旅人の守護天使でもある。
小箱を抱えて、ずだ袋を担ぐ旅人の姿でよく絵画に描かれてるそうだ。
旅の無事はラファエルにお願いするのが絵になるわけで…
覚えておきたい天使である。
「でも、やっぱり、ウリエルさまが格好いいよね…だって、業火を繰り出してばぁぁんと、町を吹き飛ばしちゃうくらいだから。」
ミシェルは、楽しそうに両手を広げて天使を語る。
まあ、この時代、娯楽も少ないし、戦隊ヒーローものなんて無いんだから、天使の話は楽しいのだろう。
確かに、神の炎を意味するこの天使は、人をその炎で暖め勇気づける反面、罪人には容赦なく、その業火で焼き付くすのだ。
あまり、比喩として使う天使では無さそうだが、アクションシーンなどには使えるのかもしれない。
そして、最後は私のキャラクターも名前をいただいたガブリエル。
神の英雄とも、お告げの天使とも呼ばれているらしい。
マリアの受胎告知をしたのもこの天使で、女性的な美しい姿をしているのだそうだ。
まずは、この四大天使の情報を共有した。
ああ、しかし、なんだかまた、雲行きが怪しくなるなぁ…
天然で純粋で、不器用なミシェル。
確かに、さにわとシャーマンなら、清純なヒロインと冒険を楽しめそうだが…
彼はアクション要員では無いようだし…
急に話を変えてしまって、なんだか悪いことをした気持ちになる。
まだまだ、積み上げる知識もあるし…
比喩として使う天使や悪魔も必要になるだろうし…
あれ?
ちょっとまてよ…
今度は私の思考が止まる。
私の記憶が正しければ、諸世紀に天使の比喩なんて無い気がするぞ…
ギリシア神話の神とかは出てきても…
なんでだろう?
500年後の仏教徒の私ですら、こうして、必死でキリスト教の文化に溶け込もうとしてるのに…
ノストラダムスは、なぜ予言詩に天使の名前を使わなかったのだろう?
いや、その前に、本当に天使の名前がついた予言詩は無いのだろうか?
探して見なければ!