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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文

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イベント

静かに夜の闇に湖畔は染まって行きます。

我々は焚き火を囲み、静かに夜の音を聞いていました。


秋の夜の肌寒さが寂しい気持ちにさせます。

少し懐かしい曲でもかけましょうか。


アース・ウィンド&ファイアー『September』


これは実は12月の歌なのです。

12月…恋を成就させた彼が、恋の始まりの9月の事を彼女に語りかけている…

そんな歌です。


「9月ね…今年は時代物のイベントが追加されて始まったわ(T-T)

もう、くよくよしてる場合じゃないのね。」

作者が深いため息をつく。

「そうですね。」

私は、毎度、9月の混乱を思い出して苦笑する。

そう…我々の場合、童話のイベントやネット大賞のある冬に向けて、9月は色々、考えるのでした。

「時代物…テーマが手紙だよ(T-T)


去年、イベントが増えるので、考えていたわ。

ずっと、ありがとうが言えなかった『猿酒』を応援してくれた人に、アンコールをかこうと。


今回、手紙ということで始めたかったけど…調べられないから没だわ(T-T) 」

作者は渋い顔をする。


「明智小五郎でいくんですよね?」

「うん。もう、こうなったら、やけっぱちよ(>_<。)

もう…明智小五郎で夏アニメの原作目指すんだもん。」

作者は渋い顔をしていますが、やる気がにじんでいます。

私は沸いたお湯を使ってコーヒーを作り始めました。

粉の袋を開けると芳しいコーヒーの薫りが広がります。

本日はコナ。ハワイのコーヒーをチョイスしました。



「はぁ…なんかさ、今度の映画『リトルマーメイド』アリエル役が黒人なんだって…で、イメージが合わないって、一部話題になっていて、そんな事考えてたら、こっちがのまれてさ…

もう、吐き出したいわ。」


作者はそう言って、すがるように私を見る。

私は、笑って頷いた。


「なんてのかな?とにかく、私は、別物で作れば良かったと思うのよ?

公式が、キャラのイメージ壊すと、再現なくなるじゃない?


で、黒人で考えてたら、今、考えている作中の平井太郎が話を作り始めちゃったんだよ。」

と、作者は曲の終わりをつかんで曲を変える。


ホイットニーヒューストン『そよ風のおくりもの』をチョイスした。


「なんてのかな?やっぱ、ホイットニーヒューストン、絶対すごいじゃん?

デビュー曲のこれ、このジャケットの白水着姿。

もうさ、憧れたわよ。

このイメージに文句を言う人いないと思うのよ。


不幸なことに2012年になくなってしまったけれど…

丁度、10年目だし、ホイットニーの曲を主題歌にして、地中海で生活する白イルカの尾を持つ黒人の人魚の話なら、批判はなかった気がするわ。」

作者はそう言ってコーヒーを飲む。


「そうですね…。でも、それは冬の童話にとっておいたらどうでしょう?」

私は、ホイットニーの切ない歌詞を聴きながら昔を思い出す。


「別に、いいのよっ、書かなくても…

私はね、でも、頭の中の平井の奴が、大正時代の伯爵令嬢とその話し相手に話しかけるの。


話し相手ってのが、アメリカの黒人の孤児の女の子なのよ。

力仕事が出来ないから、いつまでも引き取り手がない彼女を伯爵様が娘の話し相手に引き取ってきたのよ。


で、この二人の少女は12才位なんだけれど、世界の童話を読み聞かせてもらってるのよ。

そして、2人は気がつくの。本のなかに黒人のプリンセスの話がない事にね。

悲しむ2人に平井は即興で話を作り始めるわ。


アンデルセンの昔話をベースにした、黒人の人魚姫のお話を。」

作者は楽しそうに笑う。

「平井さんは、ロマンチストなんですね。」

「まあ、どちらかと言うと、オカルトに興味があるんだけどね。


『パラサイト』で死ぬほどエジプト調べたじゃない…最後の辺りでクシュ王国まで出してさ。


この発掘が始まったのが、1916年から1923年頃。

アメリカの考古学者ライスナーが見つけたんだけど、黒人の王国…ファラオがいた事を疑って、それ以上調べなかったらしいわ。


ツタンカーメンの発掘時期にも合致するけど、

乱歩のデビュー、そして、今回の物語とも時期があったのよね(-_-;)


と、言うわけで、平井は黒人の少女に当時、認められなかった幻のクシュ王国の物語を始めるわ。


この話は、内陸…スーダン辺りに住む王子が、海と人魚のお話に憧れる…逆バージョンよ。


ナイルを下り、荒れていた上エジプトを制定するためにやって来た王子は、悪者に襲われるんだけど、マーメイドに助けてもらうのよ。


彼女は美しい白イルカの尾を持っていてね、そのジャンプ力で弓で王子を狙う悪者を海に叩き落としてしまうわ。


王子は、その姿に恋をするんだけれど…地中海の海底王国アトランティスの人魚姫を見つけるなんて不可能なんだわ。


でもね、実は、すぐ近くにいるのよ。

人魚姫は王子の婚約者の召し使いなんだもの。

姫は悪い魔法使いに魔法をかけられて、アトランティスに帰れずにいたの。」作者はそこで満足そうにため息をついた。

「なかなか、面白いじゃありませんか。」

「ふふっ。婚約者はクレタ王国の姫。

悪い魔法使いは…どうしようかしらね(^-^)」

「そうですね、いっそ、シュメールからやって来たことにしたらどうですか?」私も楽しくなる。

「あら?そんな遠くから出したら、お話がつつかなくなるわよ?」

「なんの、アスモデウスの物語をおわすれですか?」

私はずいぶん昔に話したことを思い出した。

アスモデウスは、ラファエルに倒されて、エジプトに幽閉されるのです。


「懐かしいわね……はぁ…そうね、あの話も何とかしないとね。

さて、後は平井に任せて、本編書こうかなぁ…

間に合うかな(>_<。)」

作者は頭をかきながら作業を始めた。


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