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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
346/499

時影、近代魔術を語る番外 19

『とび蛙』


むかしむかし…


とても自分勝手で、残虐な王様がいました。


王様は、好戦的で、周りの国に戦争を仕掛けます。

ある日、負けた国から、王様に2人の人間がつれてこられました。


一人は、可愛らしいトリペッタと言う女の子。

そして、チビで醜い道化の男。


王様は、醜い道化を『とび蛙』と呼んで、意地悪をしては楽しんでいました。


2人には、辛い日々でしたが、お互いを励まし合って過ごしていました。


しかし、それも限界がやって来ます。


イジメをエスカレートした王様は、とび蛙にお酒を飲むように強要します。


小さなとび蛙は、頑張ってそれを、飲み干しました。


すると、王様は、おかわりを置いて、とび蛙に飲むように命じます。


もう、酔ってふらふらのとび蛙。

このまま、飲み続けたら死んでしまうに違いありません。


「王様…どうか、お止めください。」


トリペッタは、思わず王様に懇願しました。


すると、王様は、そんなトリペッタに腹をたて、蹴り飛ばしてしまうのです……


憐れ、トリペッタ

王様に力任せに突き飛ばされて、体がもう、動きません。


その、悲しい悲鳴に共鳴するように、とび蛙が正気を取り戻しました。


彼は、何事もなかったように立ち上がり、

王様にある事を囁くのです。


そう……死へと繋がる、楽しい芸のお話を……





メフィストが花し終わると、それを合図に妖精の少年が、蓄音機を回しだしました。


すると、島倉千代子さんが、澄んだ声で『美しき天然』をうたいだします。



「島倉千代子さんが、歌っていたんだね…と、言うか、本当にサーカスの歌じゃないんだね(T-T)


歌詞が…全然違うよ…

自然を愛でる、そんな歌詞が、頭を混乱させるわ。」

作者が、曲の終わりに混乱しながら呟きました。


「作詞をされた武島羽衣さんも…まさか、自分の作詞した曲が、こんなにイメージが違い、歌詞を忘れられて語り続けられるなんて、考えもしなかったでしょうね。」

「そうね、」

と、作者は、アザレアが奏でる曲にあわせてお辞儀をしました。


「善男善女の皆々様。皆様の声援をもらい、サーカス団、再びやって参りした。

今回は、新人スタァの空中ブランコのり、大空 鷹矢を加え、

上海帰りの猛獣使い、北野広大を交えてお送りします。

沢山のお客様のご来場、サーカス一同、楽しみに、お待ちしております。」


作者の口上に合わせて、メフィストが、サーカスの影絵を操ります。


「なかなか、お上手ですよ。」

メフィストは作者に笑いかけると、壁の影が、一斉に拍手をしました。


本当に…人に媚びるのが上手な奴です。


「ありがとう。でも…なんか、この曲…二次作品の物哀愁を感じて、複雑になるわ。


もう、これ、チンドン屋の曲って感じで頭についてしまってるもの。


でも、チンドン屋さんだって、この曲と人生を共に暮らし、この曲を大切にしてきたのよね。


でも…元の作詞、作曲者は、サーカスやチンドン屋の…華やかで物悲しい世界なんて、意図してないんだもの。

私、こんな事をしてなきゃ、この曲の題名も、武島羽衣(たけしまはごろも)なんて人も知らずに人生を終えていたわ。


武島さんは、滝廉太郎の『花』の歌詞も手懸けた偉い先生なんだって。


それを知って、なろう活動をする身で聴くと…

この曲が切なく感じるわ。


自分の作った何かが、自分から離れて、全く違うイメージで使われるんだもの。」

作者は、ため息をつく。


「では、武島先生を悼んで、歌いましょう!」

メフィストは、私の作者の手を握り、歌い始めました。


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