時影、近代魔術を語る番外 15
穏やかな午後でした。
作者は、静かにソファで眠っています。
この所、色々とあったので、そっとしておいて、
3時のおやつを用意することにしましょう。
私は、ベルガモットのアロマキャンドルにそっと火をつけました。
そして、窓辺からやって来る光の精に『夢はひそかに』を演奏させました。
今年は落選してしまいましたが…眠っている時の夢は…いいものであるように願いながら。
もう少ししたら、ベルガモットのアロマの精が目を覚まして歌ってくれるでしょう。
その間に、私は、ミルクティでも用意しましょう。
本日は、『モア・アム・ヘムト』ウィーンのチョコレート蒸しケーキです。
上にのせるふわふわのクリームに微笑む作者が目に浮かびます。
私は、温かい紅茶を用意し、戻りました。
作者は、ぼんやりと目を覚まし、私を見て微笑みました。
「お茶…ありがとう。」
作者は、そう言って立ち上がって伸びをしました。
「今日は、『モア・アム・ヘムト』ウィーンのチョコレートケーキです。」
私は、作者が元気そうなので嬉しくなります。
「なんか、生クリームすごいね(^-^)」
作者は、嬉しそうに席につきました。
私は、温かいダージリンティを勢い良くカップに注ぎます。
甘い茶葉の薫りが、夏の訪れを予感させます。
「召し上がれ。」
私は作者の向かいに座り、静かに作者が食べるのを見つめていました。
作者は、楽しそうにお茶を飲んで、久しぶりにいたずらっ子のように目を細めて話始めました。
「いやぁ、さすがに全滅はびっくりだったけど、短編書いたりしてたから、こっちのネタは仕込んできたわよっ。」
作者は、そう言って、嬉しそうに私を見る。
「そうですね、『めぐりあい』も、公募に送りましたしね。」
「うん。まあ、落選しても、短編は、他のサイトで小銭を稼いでくれるもん。
5年、無駄文ばかり書いてるって思ったけど…300円、フライドポテトが見えてきたわっ。」
作者は明るく笑う。
300円…フライドポテトに変えるのは…忍びないのですが、作者がそれで、創作活動を続けてくれるなら、私は、それでいいとも思うのです。
「よかったですね。」
「うん!でも、私は、300円で止まる女じゃないわっ。落選しても、それは次の弾になるんだから、年内500円だって夢じゃないわ。」
作者は世界制服でも企むように、ニヤリと笑います。「ふふっ、500円ですか、去年の5倍ですね。」
「うん…そう言われると…なんか、恥ずかしいけどさ、まあ、やる気を充電も必要だよ。
今回は、春に推理が加わったから、それにも参加したし。
推理…なんか、色々いわれるかと思ったけど…
ファーストいいね、貰っちゃったよ( ´艸`)
乱歩先生は、短編で作った明智小五郎が、意外に人気になって、調子にのって次回作を作ったんだって。
私も、『いいね』貰って、その気持ち、ちょっぴりおすそ分けしてもらったよ(^-^)
で、次の短編を投稿したんだ。」
「冷やし中華とキュウリの話でしたね。」
私は嬉しくなる。
この話は、投稿の少ない推理ジャンルを、もっと手軽に投稿しよう!
と、言った意味合いで作っていた。
なんだって、書き方ひとつで推理ジャンルになる…
それは、冷やし中華の隠し味、みたいな、ショボい題材だとしても。
この信念で書き始めた作者は、ここから乱歩の迷宮に足を踏み込む事になるのだ。