時影、近代魔術を語る番外 14
ゆっくりと、船が夕日の中を進んで行きます。
相変わらず、同じような緑の森しか見えませんが、それでも、前に、進んでいるのは間違いありません。
Gwは長かったのですが、作者は忙しく走り回っていました。
私は、相変わらずですが、それでも…あの人が作る物語が投稿されるのは、楽しいのです。
最近、手に入れた春摘みのダージリンであの人の労をねぎらうのです。
ポットの茶葉が踊り始める頃、疲れた表情で作者が現れました。
「おつかれ…(>_<。)」
作者はヘロヘロになりながら、椅子に座って私に挨拶をしました。
「ホットティーを。」
私は、急遽、ハチミツを紅茶に入れて差し出しました。
作者は、嬉しそうにそれを飲むと、すこしリラックスしたように微笑んだ。
「ありがとう。はぁ…今回は、頑張ったけど…失敗したかも(>_<。)」
作者は頭を抱えますが、私には、そうは思えません。
なにしろ、乱歩様の終章、イベント2つに参加したのです。
「失敗なんて…してませんよ。アクセスもあったし、素敵な感想も貰えました。」
「でも…『めぐりあい』は、あんまりアクセス延びなかったんだ……(>_<。)
本来なら、ここで、乱歩様をテコ入れしないといけないのにっ…。」
「テコ入れ……」
私は、使いなれない用語を頑張って使う作者をみて、つい、可愛らしく思って笑ってしまいました。
テコ入れとは、連載漫画などの人気に陰りが出てきたときに、読者の気を引くようなエピソードを追加する事を言うらしいです。
しかし、使いなれない言葉ですから、本当にその意味で良いのか、私も、自信はありません。
「(///∇///)、もう、笑わないでよ…だって、本来は、クリスマスネタにしようと思ったのよ…恋愛とクリスマス…なんか、閲覧数延びそうじゃん?
でも、新キャラが…素直に好きとか言い出すやつでさ、流された(>_<。)」
作者は、深いため息と共にお茶のおかわりを要求する。
「しかたありませんでしょ?有明くんは、あのキャラなんですから。」
私は、ミルクティーにしておかわりを差し出しながらいう。
「いや…有明より、私の作品の恋愛需要が…無いことが…ビックリだ。」
作者は、深くため息をつきますが、笑っていました。
「まあ…既に、4年、恋愛風味になりませんからね。」
私も、ホットしながら作者に話しかける。
でも…読者が恋愛を求めてないなら、気楽に先を、つくって行けるとも言えます。
「ははは、まあ、ね。それは良いんだけど…いや、私はね、良いんだけど。有明には悪いことしちゃったよ(>_<。)
アクセス50 行かなかったら…作品のために、カテゴリー恋愛にしようかな…結構、私は、うまいと思ったんだよ?あの作品。」
有明の作品として出された『めぐりあい』は、来年100周年を迎える大阪の築港赤レンガ倉庫を舞台にした、幽霊と生まれ変わりの少女の短いふれあいの物語です。
この作品は、短いのですが、1923年、9月の関東大震災の翌月に築港倉庫が完成する…
身分の違う男女の悲恋ものです。
8月に久しぶりに会ったお嬢様は、関東の貴族とのお見合いが迫っていました。
お見合い前に告白される男は、身分違いで身を引いてしまいます。
が、失恋したまま東京に向かったお嬢様に、震災が襲うのです。
混乱しながら、男は倉庫を完成させ、お嬢様を探しますが、結局、再開できずに死んでしまいます。
そして、100年後、観光スポットと化した築港倉庫に遊びにきたお嬢様の魂に出会うのです。
短くまとめて、悪くはないと、思いますが、説明もなく、粗削りなのも事実です。
「そうですね、でも、きっと、彼はアクセス50無くても、次をかきますよ?」
私は、新しく生まれたキャラクターを思う。
頑張ってほしいと思うのです。
「そうね…(>_<。)わたしも頑張るよ……(T-T)でも、もう、寝る。限界だ。」
作者はそう言って、テーブルに伏せて寝てしまう。
しかたありません。
今日は、ベットに連れていってあげましょう。
私は、静かに立ち上がった。




