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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
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時影、近代魔術を語る 番外

夕暮れのエルベ川を船は静かに流れて行きます。


メフィストが、船尾のテラスで気まぐれにバイオリンを弾いていました。


夕暮れをバックに東欧の緑の森が流れて行きます。

作者は、その風景を見つめながら深く、ため息をつきました。


仕方ありません。


なんとか、話を終章させようと『パラサイト』に黙示録や聖杯伝説を混ぜ混んだために、今回のウクライナ侵攻が洒落にならなくなったのです。


「呪われてるわね(T-T)私、絶対、エタの悪魔にとりつかれてるわ。」

作者は、頭をかかえる。

「そうですね…ネット大賞の締め切り間近に、まさか、このような紛争が…勃発するなんて。」

私は、穏やかなエルベ川の水面に災いが流れ込んで来ない事を祈らずにはいられません。

「そうよ〜基本、世紀末に流行った終末思想は、ソ連…ロシアによる暴発なのよね。だから、西洋の終末風味にすると、どうしても、ロシアが悪者になっちゃうんだけど……。まさか、本当にこんなになるなんて(T-T)」

作者は、深いため息をつく。


「まあ、あの時代は、東西冷戦でしたから、どうしても、東側が悪として描かれましたからね。」

私は、こうして、のんびりとエルベ川の川下りを楽しんでいる現在に時代の流れを感じていました。


「そうね……。でも、私達は、この川の先に、過去を…忌まわしい時代の幻想を垣間見ることになりそうだけど。」

作者は、そう言って、暗い気持ちをふりきるようにエルベ川の妖精に歌を歌わせました。


映画『ポカホンタス』から『カラー・オブ・ザ・ウインドゥ』


映画『ポカホンタス』は、1994年のディズニーのアニメ映画です。


主人公、ポカホンタスには、実在のモデルが存在します。


17世紀初頭の人物で、ポウハタン族の本名は、マトアカと言う女性でした。


ポカホンタスとは、通り名で、秀吉が「猿」と呼ばれたように、快活な彼女は「御転婆(ポカホンタス)」と呼ばれていたようです。

彼女についての伝説や伝記は、イギリス…西洋側の記述で伝えられた為に、ポウハタン族の伝記とは、違う面もあるようです。


この映画も、封切りにあたり、色々な物議をおこしたようです。


歴史は、映画のポカホンタスのような、ロマンチックなものではないし、

当時、ポカホンタスを使って、イギリス側は自国のイメージアップをしたようで、インディアンの人たちからしたら、都合よく歪ませられた様に見えるのでしょう。


「東欧で『ポカホンタス』ですか…」

私は、暖かい紅茶を作者に差し出しました。

本日はアールグレイ。ベルガモットの香りで、しばらく、安らかな気持ちになって欲しいのです。

「ふふっ。なんとなくね。

この曲、私は、好きなんだけど、やっぱり、インディアンの人たちからしたら、変な歌詞なのかも知れないわね。」

作者は、そう言って苦笑する。

「風の…スピチュアルな世界を見る、美しさを表現した歌詞ですよね?」

私が聞くと、作者は口元に苦笑をにじませた。

「ええ、西洋人は、自分達以外の民族をスピチュアルにとらえるのが好きなのよ。寿司に芸者にオール武士。中国人は、怪しげな妖術を使う…みたいな。

映画で楽しむのはいいけど…時影、あなただって、柔道の達人みたいなイメージでいきなり語られたら当惑するでしょ?」

「そうですね…確かに、西洋のアニメで、いきなり、細川ガラシァが、西洋の船乗りに恋をして、妖怪の話なんかを始める映画を作られたら…笑ってしまいますね。」

「そうでしょ?それに、日本人だからって、みんな侍じゃないし、インディアンだって、みんなシャーマンじゃないわよ。」

作者は、そう言いながら、川の聖霊の美しい歌声を聞く。


「それに…本当のシャーマンは、風の色なんて語らないわ。」

作者は、そう言って濃紺に染まる空を見上げ、呟くようにこう言った。


「皆も同じ光景を…当たり前のように見えていると、そう、考えているものだから。」


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