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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
318/500

番外ダ・ヴィンチの偽コード7

静かな空間に古いバラードが流れます。

『誓いのバラード』日本版スパイダーマンのエンディング曲です。


「気がすみましたか?さあ、暖かいシナモンティを淹れました。少しお休みください。」

私は、ティーカップを差し出しながら呆れる。

さっきから、もう、5回のヘビロテなのです。少し疲れてきました。

「うん。」

作者は素直にテーブルに座る。

「本当に好きですね、スパイダーマン。」

「日本版ね。アメリカと日本だと、スパイダーマンでも違うのよ。

フライドチキンは、同じ味でも、日本に来たスパイダーマンはオリジナリティ満載で、少し暗くて…地獄の使者なんだ。」

作者はミルクティーにして美味しそうに紅茶を飲む。

「地獄の使者…って。」

私は、スパイダーマンの意外な一面に絶句します。

「だって…本人がそう言うんだもん。

日本版は暗いのよ(-_-;)

私だって、アメリカのスパイダーマンを見てあまりの明るさにビックリしたわ。なんか、腕輪みたいなのも、してなかったし……。」

作者は、アメリカ版のスパイダーマンのテーマを歌いながら、オープニングから違いがあることを熱心に説明する。

「まあ…そうですね。最近は、メンバーが増えてますから、一概(いちがい)には言えなくなりましたけど。」

私は、ネットで見かける様々なスパイダーマンを思い出していた。

「うん。新しいスパイダーマンは、内容が濃くなってるよね…

でも、正義のヒーローで地獄の使者なのは、日本版だけじゃないかな?」

と、作者は言いながら、最後に「しらんけど。」と、付け加えるのも忘れなかった。


「地獄の使者…日本の地獄は、閻魔大王に統括された改心の場所だから、キリスト教の堕ちる…イメージとは違うのもあるわね。

でも、昔は、キリスト教の地獄にも改心の為に罰を与える天使がいたわ。」

作者はぼやく。

「サタン…ですね。」

私は、近代魔術…の為に色々と調べた日々を思い出した。

「うん。サタンって、元々は、地獄の管理人みたいなところがあったらしいけど、そこから、堕天した…と言われているわ。」

作者はそこで一度、ため息をついた。

「昔は天使だった…一説ではルシフェルとの関連も言われていますね。」

「そうだね。でも、ルシフェルが、メジャーになるのは多分、1980年代からだとおもう。

70年代の名作『エクソシスト』では、サタンと呼ばれていた気がするし。

サタンは、もともと、地獄の亡者を統括するためにいたとされてるわ。

それが、いつの間にか、人々が、地獄にいて恐ろしい罰を与える姿に悪魔と混同した……なんて聞いたけれど、ここに来て、もう一つの可能性が見えてきたわ(-"-;)」

作者はしかめっ面でお茶のお代わりを私に頼む。


私は、少し甘めのミルクティーにして差し出した。

作者は黙ってそれを飲み干してから、ため息と共に続きを話始めた。


「私、『パラサイト』を調べていたわ…本当におわらせたいのよっっ(>_<。)

もう、色々とやりたいことをやらずに、書いて、調べてるわ(T-T)

ふざけてる訳じゃないのよっ、金がほしいの、とりあえず、500円。本気なんだから。

なのに……西条八十を追っかけていたら、プロバンスにたどり着いてさ、

ノストラダムスが出てきてさ、

極め付きは、金羊毛騎士団ですよ、

で、騎士から色々と調べてたら、カタリ派が出てきたんだよね(T-T)


プロバンスは、全体的に10世紀あたりにカタリ派の人たちが住んでいたのよ。

で、なんだか知らないけど、異端認定をされるのよ。

彼らが信仰していたのが、サタン…とも言われているわ。

現在、カタリ派の事を記す公正な資料は無いみたいだから、良くは分からないんだけれど、サタンの堕天とも関係があるかもしれないわね。」

作者は眉を寄せて、困ったように私を見た。

「そうですね。確かに、色々と、こちらを動かしたい気持ちは分かります。」

私も返事には困る。


この辺りは、色々と新しい発見があり、作者の絶叫を誘っていました。


「偽コード…動かしたくは無いわ。でもっ、アヴィニオンが、昔、カタリ派の本拠地で、攻め滅ぼされた……となると、色々と頭を回るわけよ。

地獄の使者にされたサタン。

そのサタンを信仰していたとされたカタリ派を殲滅し、その上に建てられたアヴィニオンの教会……なぜか、そのすぐ後に、歴史的にも一度きりの教皇庁の移転があるのよ?

フランス王と、ラングドック出身の一人の坊主によってね。」

作者は渋い顔で私を見る。

私は静かに立ち上がり、返事の代わりにバイオリンを弾く。


映画『パラサイトイブ』のテーマを。


ホラー映画のテーマ曲とは思えない、穏やかで上品な旋律に、寄生生物に翻弄された人々の哀愁が漂います。


さあ、次は我々の番です。

まずは、『パラサイト』を。終らない2019年からの脱出を願いながら、私のバイオリンは夢を奏でるのです。


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