番外ダ・ヴィンチの偽コード5
終秋の夜空を見つめながら、作者はため息をつきます。
私は横で空を見上げていました。
静かな夜です。
虫達も冬支度を終えて眠りについてしまったようです。
「もう……どうして、こうも面倒になるんだろうね(T-T)」
作者は遠い目で空を見つめていました。
最近、色々な発見があり、頭が混乱しているのです。
「どうしてでしょうね?」
私は、作者の方に身を寄せました。
少し、風が冷たくなってきました。
「もうね…嫌になるわ。
面白くはあるけどさ、でも、なんで、ネット大賞が始まってから、あっちこっちと見つかるんかね(T-T)
どうしていいか、わからなくなるわ。」
作者は悲鳴をあげます。
もう。仕方ありませんね。
私は、持参した水筒からホットコーヒーを取り出しました。
「一つづつ…片付けたら良いんですよ。
そうすれば、いつかは綺麗になっていますから。」
私の台詞に不満そうに作者は口を曲げました。
「ふっ…これだから、整頓好きはダメなのよ。
片付く前に、問題が増えるから、散らかるのよっ(>_<。)
もう、なんで、おかしいでしょ?
西条八十から、ダ・ヴィンチに繋がるなんて!」
作者はモヤモヤとするのか、体を小刻みにうごかしています。
「貧乏ゆすりをしたところで、話は解決しませんよ。さあ、偽コードの番外を書き始めた話を始めましょう。」
私はランタンに火を灯した。穏やかな蝋燭の光に作者の気持ちも静まって行く。
「そうでしたね。去年の春頃には、私達の西条八十はフランス語より英語が得意で、アイルランドの妖精の話を研究していました。」
「1916年にフランスに留学してね(T-T)」
「間違いに気がつきましたが、原因は、その時はわかりませんでしたね?」
「うん。まあ、私、オッチョコチョイだから、ただ、願望で読み間違えたんだと思ったの。
1918年にパリでメイガースが死んでいるから。
接点があったら、楽しいな、なんて、思っていたから。」
「でも、ここに来て、吉江 喬松のプロフィールと混ざっていた事に気がついたのでしたね?」
「うん。9回のネット大賞に落選してから、2ヶ月で完結を目指すために、西条八十に話を集中させたわ。
既に10万字は過ぎていたから、ある程度まとめてしまえば、それで良かったもの。
春に、あなたと『トミノの地獄』の明るい新解釈を作っていたし、謎が残っても、この物語は2025年、大阪万博に繋げて行くから、平気だって思ったわ。」
「『パラサイトイブ』の30周年を狙うのは…蛇足ですが。」
私は苦笑する。
作者は冷たい顔で私を見て、話を続ける。
「まとめられるって、信じていたわ。
『やりすぎ都市伝説2021秋SP』の関さんの説を聞いていて、なんか、やれそうな気がしたんだもん。
勢いで、『トミノの地獄』の都市伝説に手をつけた手前、どうしても、パンデミックエンドは回避したかったわ。
今回は、絶対にエタれないのよ…。
調べたわ、私、頑張ったわ(T-T)
ボッチチェリとダンテから、一気に話を作り替えていったの。
ボッチチェリの絵が、ルネサンスにはそれほど評価されずに、19世紀に入ってから再評価されたって話から、1920年代の日本の作家とダンテの話を盛っていったわ。
ほら、前に、ジャンニ・スキッキをやったじゃない?そこで、ダンテの話から、色々出てきたのよ。
なんか、ダンテの『神曲』とかも再認識されてたらしいのね。
で、『トミノの地獄』の『嚢』表記の謎が解けたのよ。
『神曲』でも、地獄は『嚢』で分かれていたの。
そこから、西条八十が、『神曲』の影響を受けていたんじゃないかって調べ始めたわ。
もとは、19世紀のイギリスの画家?とかの集まりから始まるらしいの。
自然回帰の考え方が。
そこで、ルネサンスの絵にスボットが当たるのよ。
ラファエル派って言われた人達よ。
で、調べていたら、吉江さんに当たって……この時は、こんなに話が複雑になるなんて、考えもしなかったわ(T-T)
もう、嫌になるわね…。」
作者はぼやく。
仕方ありません。
『パラサイト』では、ダ・ヴィンチコードの話まで飛び出すのです。