時影、近代魔術を語る 188 時代の新秩序
お茶会は穏やかに進みました。
作者はお茶を飲み干すと、『インディージョーンズのテーマ』を鳴らしました。
それから、私を軽くにらんで、「今日は邪魔しないでよ。」と念をおしました。
そうでした。
私が1ドルの豆知識などを披露して遠回りをしたのでした。
「すいません。そうでしたね。」
私は素直に謝る。あんな事を言わなければ、メフィストが暴走する事もなかったのですから。
「そうですよっ、反省してください。」
メフィストは他人事のように私を責めますが無視です。
「確か、『Novus ordo seclorum』でしたね。」
私は、1ドル札の裏に書いてある『ノブス オルド セクロールム』と言う文字を思い出した。
「うん、この言葉が1ドル札に描かれた1935年から1年後…考古学者インディアナ・ジョーンズ先生は、聖杯を探索しに冒険の旅に出るわ。」
作者の言葉を私は笑顔で聞いた。無駄な事は言いますまい。
何しろ、1ヶ月も寄り道してますから。
「面白かったですね。この同じ年、ルドルフ・ヘスがライプチヒに振り子を使った治療施設を建設します。これは、ダウジングを研究した施設ではないかと、ライターの恵田 仁さんが書いています。」
メフィストはニヤリと笑った。
「えっ?なんでダウジングになるのよっ、振り子を使った診療所なら、『メスリズム』の関係でしょう?」
作者が怪訝そうな顔で食いついています。
いけません。また、脱線してしまいそうです。
「ルドルフ・ヘスがどう思ったかは知りませんが、恵田さんは、後にヒムラーが作った『SS振り子研究所』との関連で話をしていらっしゃいますね。」
「『SS振り子研究所』(°∇°;)なに、その面白そうな施設…。」
作者は両手をテーブルで握りしめてワクワクし始めました。
輝く彼女の目を見つめると、もう少しお話ししたいのですが、いけません。
早く、ベルリンへと向かわなくてはいけません。
「大したことはありませんよ。なんか、ロッド…棒を使ってレイラインを探していたらしいですよ。」
メフィストはつまらなそうに作者に言いますが、それが逆につぼらせたようです。
「レイライン…なんか、ワクワクするわね。」
「ワクワクしないでください。もう、大したことはありませんよ。
でも、この時期、学者でSSの将校だったオットー・ラーンが聖杯についての本を書いたようです。
多分、『インディージョーンズ』にもその辺りの影響はあるのでしょうが、
映画では中東を探しに行きますが、ラーンはフランスとスペインの国境…カタリ派の伝説で聖杯伝説を追っていたようですね。」
私は話ながら、脱線の予感がしてきた。
「オットー・ラーン(-"-;)この人、なんか前に聞いたことあるわ。
色々、モヤモヤするわね(T-T)
放りっぱなしのダ・ビンチの話とか、ノストラダムス。
パラサイトも今、プロバンス書いてるし……
頭、ぐちゃぐちゃだよ(>_<。)」
「仕方、ありませんね。」
と、私はバイオリンを取り出した。
南 佳孝さんの『冒険王』をひきます。
日本においての1930年代冒険ものなら、彼の曲だと思うのです。




