時影、近代魔術を語る 179 時代の新秩序
馬車に揺られながら、作者は渋い顔をしていた。
「ワシントン…アメリカ初代大統領だけど、そんなに知らなかったわ( ̄〜 ̄;)」
「まあ、外国の大統領なんてそんなものです。それより、日本の初代総理大臣は覚えてますか?」
(;゜∇゜)!
「そっちの方が問題ですよ…。」
「し、知ってるわよ。えーと、伊藤博文でしょ?千円札だった…。」
作者は、不安げに視線を上下します。
「正解…って、なにを挙動不審になってるのですか?ワシントンがスラスラと出てくるのに。」
私は、思わず笑ってしまいました。
「そうね、本当におかしいわね。」
作者も笑いだし、和んだ雰囲気になりました。
「でも、この歳でワシントンについて、色々と考えることになるなんて、思わなかった…主に、オカルト方面で(T-T)」
作者は、苦笑する。
「フリーメンソンと聞くと、まあ、そうなりますかね?」
「あら、フリーメンソンなんて可愛らしいわよ…
ワシントン、林のなかで宇宙人みたいな人には会うし、
亡くなってからも、南北戦争の兵士達を道案内したりとか、心霊体験の話も結構あるみたいよ。」
作者は、渋い顔をする。
「まあ、大半は尾ひれがついた伝説でしょうね。それに、宇宙人に遭遇したとか言ったのは、後の人たちの仮説でしかありませんし。」
「まあ、ね。でも、宇宙人より、神や精霊の方が厄介だったと思うわよ。
フリーメンソンて、一応、宗教団体なんでしょ?
秘密結社なんだから、活動内容はわからないけど、カトリックと闘う風刺画とか、儀式の様子がテレビで取り上げられたりしてたもん。
と、すると、海を隔てた新天地で、光の精霊と遭遇した大統領なんて、他のメーソンメンバーには、どう映ったのかしらね?」
作者が私に謎かけをする。「フリーメンソンのメンバーには、王族の方々もいましたから、植民地であったアメリカの地で、新しく君臨するワシントンが、神に会ったようなエピソードが流れてくるのは、政治的な面で好ましくはなかったでしょうね?」
私は、そう答えた。
「そうよね(-"-;)私も、ここに来て、やっと、フリーメンソンも、一枚板の用な団体ではないと理解できたわ。」
「メーソンの秘密を暴露した人がいるくらいですからね。」
「うん…。そんな人がいたから、私達もこうしてメーソンについて話す事が出来るのだし、イギリスのメーソンロッジに観光にも行けるらしいんだわ。」
作者は笑いを含ませた渋顔で空を見る。
「メーソンロッジ…ですか。やはり、行ってみたいですか?」
私が聞くと作者は、寂しそうに笑った。
「まあ…その前に、名古屋だわ(T^T)」