時影、近代魔術を語る 152 ベルリンソナタ
プルタバ川の流れは続き、晴れ渡る空に白い雲が浮かんでいました。
その青空に解き放たれる爽やかなテナー。
曲目は『フェレンツェは花咲く木のように』です。
「まさかのプッチーニですか。」
私は少し呆れながら作者と向かい合ってコーヒーを飲む。
「仕方ないじゃない(T^T)。なんか、マスネといい感じの時代の人なんだもん。」
作者は少しふてくされながら答える。
「別に、悪いなんて言ってませんよ?」
私は笑いかける。
そう、プッチーニ、結構、話をまとめるのに苦労していたのです。
茶色いノートも三年目ですが、作者のネタノートも5冊になり、ごちゃごちゃと書かれていますが、
知ることが増えると、話をまとめるのが逆に難しくなるのです。
「そう?まあ、いいわ(-_-;)
プッチーニ…読者を思えば、『ジャンニ・スキッキ』ではなく、最後の作品で未完の『トゥーランドット』の方がいいのだろうけれど。」
「確かに、荒川静香さんがこの曲で演技をして金メダルを獲得しましたからね、比較的、クラッシックでも有名ではありますからね。」
トゥーランドットとは、お姫様の名前です。
何故か、中国の…氷の姫の名前らしいのです。
彼女が、結婚したくないので無理難題を求婚者に出し、それをカラフ王子がクリヤーして見せるのです。
しかし、姫は王子の愛を受け入れようとはしません。
そこで、王子は最後の賭けを姫に申し出ます。
王子の名前を当てられたら、身を引くが、あてられなければ素直に結婚する、と言うものです。
「どうしたの?」
黙り混む私を心配そうに作者が見ました。
「いえ、『トゥーランドット』のお姫様の事を考えていたのです。」
私がそう答えると、作者は嫌そうに深くため息をついた。
「そうね、なんか、変な話よね?
中国?清?のお姫様なら、そんな我が儘言えない気がするもの。
大体、約束をクリヤーしたのに、まだ、ぐずるような人間に、また、賭けを持ちかけるって、なんだかおかしいわよね?
そんな事より、デートのひとつでもして、お互いを知る努力が先の気がするわ(-"-;)しらんけど。」
作者はブツブツもんくを言い出しました。
「確かに、自分の名前を当てさせるなんて、妖怪とか、悪魔の伝説によくあるパターンですね。」
「ふっ…(T-T)。なんでも良いけど、今から100年前、プッチーニは、『トゥーランドット』を作成していてスランプになったらしいわ……。
で、スランプを抜けたときには…病気で…完結できなかったらしいのよ。」
作者はそう言って寂しそうに笑った。
私は、光に溶けてしまいそうな作者の淡い笑い顔に胸が突かれる。
まるで、自分もそうなるとでも考えているように思えたからです。
プッチーニは、1924年11月に亡くなりました。
喉頭癌でした。
「まさか…世紀の天才と自分を重ねたりはしていませんね?」
私は作者をにらんだ。作者はギョッとなりながら首をふる。私は続けた。
「ですよね?カラフ王子じゃありませんが、2025年、大阪万博経由で名古屋に行くとお仲間に昨日メールしてましたよね?
ここも、他の作品も、ブックマークは減ってないのですから、死んでる暇なんてありませんよ。
『パラサイト』が書けなくなったとか、そんなくらいでスランプなんて、行ってられませんからね?
ネット大賞に応募したのですから、8月までには、少なくとも、改編を終わらせてもらわなくては。」
「わかってるわよぅ……(T-T)もうっ。ここは歴史のカテゴリーなんだから、そんなに喚かないでよぅ。
もう、だから、『トゥーランドット』ではなく、『ジャンニ・スキッキ』を調べていたんじゃないのっ。
『ジャンニ・スキッキ』も人の名前。中世のイタリアの男性だわ。
そして、彼は、ダンテ・アリギエーリの『神曲』の登場人物らしいのよ。
はぁ……私だって…『レクス』を忘れたわけではないわ。
『ピーターラビットと私』を聞きながら、よろよろのシャドーボクシングをしながら、一応は考えていたんだから。」
作者は膨れながらそう言った。
更新遅いのに、読みにきてくれてありがとう。
最近、頭がこんがらかっていて、時間かかっています。