時影、近代魔術を語る 131 ベルリンソナタ
「どこから話そうかな。」
作者はコーヒーで落ち着いて呟くように言う。
「そうですね。『ベルリンソナタ』を新しい物語の題名にするのでしょうから、その辺りからどうでしょう?」
私の提案に作者は渋い顔をする。
「そこから話始めたら長くなる(T-T)
体が痛い…疲れたし、ファンタジーの短編書きたいから、出来るだけ短く話すわ…。
私だって、こんな事、してる場合じゃないのは分かるのよ…
分かるんだけどっ、今回の設定はっ、すごいんだよ…。近代魔術…の北条を主人公に1988年から話を盛れるから、当時リリースされた『ベルリンソナタ』も上手く話のイメージに溶け込めるしね。」
作者はそう言って話始めた。
「江戸川乱歩の二次作を作り、ベルリンソナタを合わせて作るにあたって、私は、1922年ベルリンで、乱歩のエピソードを使った異常殺人の物語を作ろうと考えたわ。
この時代のベルリンについても知りたかったし、『通り魔』の続きについても考えたかったし。
で、色々考えて調べていたのよ。
その途中で、1888年ドイツ皇帝ヴィルヘイム1世の崩御の年に、ドイツに森鴎外が留学していたことを知り、
海渡英佑先生が『伯林 一八八八年』と言う作品で、1967年に江戸川乱歩賞を受賞されたと知ったのよ。
これ、森鴎外が1888年、ドイツに留学中に事件に巻き込まれるって話らしいんだ。なんか、因縁を感じるよね。
で、まあ、なんか色々あって、三島由紀夫にたどり着くんだよ。」
作者は不可解そうに眉を寄せる。
「何があったのですか?」「よくわからないわ(-"-;)
多分、著作権の関係で思いついたんだと思うわ…
三島由紀夫先生が亡くなったのは1970年
2021年に日本での著作権が切れる予定だったから…
でも、なんか、Tppの関係で50年から70年になるみたいなのね(-"-;)
え?で、江戸川乱歩って…どうなるのよっΣ(-∀-;)
50年で切れたって、昔聞いてたけどっ…」
作者は必死でネットを検索する。
どうも、文化庁のホームページを見るかぎり、2018年12月30日前日までに著作権が切れていない作品と言うことらしいので、
江戸川乱歩先生の作品は大丈夫そうです。
が、三島由紀夫先生の作品は、あと20年は待たなくてはいけないようです。
「まあ…よかったよ(;_;)
本当に…七転八倒だよね泣く
とにかく、そんなこんなで、三島由紀夫先生を思い出し、
そして、五島勉先生の『1999年以降』を連想し、この本に書かれていたあの台詞を思い出したのよ(-_-)
『ヒトラーを調べてみるといい』とか何とか、五島先生が言われたってエピソードを。
でも、このエピソード、ネットでたまに、三島由紀夫先生のファンのブログに当たると、批判的なのよね。
だから、森鴎外ならどうだろうって調べたら、
三島由紀夫先生は、森鴎外先生が好きだったらしくて、上手く話を繋げそうなのよっ。
しかも、森鴎外先生…亡くなられたのが1922年らしいのよっヽ(゜ロ゜;)ノ
つまり、来年が没後100年に当たるんだわっ!!
凄いわよね…
日本の文学の巨星が消えるとき、
時を同じくして、新しい巨星が誕生するんだよっ(>_<)
もうさっ、すごいじゃん。
使いたいし、何より読みたいよ…
なにしろ、森鴎外先生、あのゲーテの『ファウスト』を翻訳してるんだよ…
ノストラダムスがどうのこうのって書いてある…ファウストを!!
森鴎外が留学してから100年後、1988年のベルリンで、乱歩のエピソードを使った異常殺人と共に北条と旅をするのよっ。
佐藤隆さんの『ベルリンソナタ』も生きてくるし、
翌年には、誰も予想してなかった壁の崩壊と、ヒトラー生誕100年。
もう、凄すぎて、削るなんて出来ないじゃん。
みんな投げてこれに賭けたくなるじゃないε=ヾ(*~▽~)ノ
頭の中は、それのパターンが二つくらい蠢いてるし…
疲れたわ(T-T)
でも…分かってるよ…。
そんなもんに関わる時間は無い事をっ!!
今は、こんな壮大なロマンではなく、じみなオッサンの異世界ファンタジーの短編を作り、いかに500円を手にするかに力を入れるべき時だって。
でも、はぁ…
少し落ち着いたよ。
この記事を読んで、佐藤隆さんのベルリンソナタ、聴きたくなる人が少しでも居たら、私はそれで満足することにするよ。」
作者はそう言って苦笑した。
私も聞きながら、少し疲れてきました。
何で、この人は、完結する前から面倒な設定を思いつくのでしょうか…。
『魔法の呪文』だけでも、迷路のようになりかけているのですが。
そう思いながらも、私もまた、フランクの周辺で、森鴎外の影を見つけて不思議な気持ちになるのですが。
まあ、それはともかく、今日はゆっくりと眠り、明日から、パガニーニについて考えることに致しましょう。