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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
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時影、近代魔術を語る 94

「高地に生息するお茶が、イギリス国民の食生活に新しい文化を花開かせる頃、

1854年、近代魔術とライトノベルの世界に新たな光をかかげる人物が、ロンドン北部に生まれるわ。」


「マグレガー・メイザースですね。」

私は、わざとらしい口ぶりで話を始める作者に相槌をうつ。


作者は、冷たいお茶のグラスを軽く揺すって楽しそうに微笑んだ。


沢山のクラッシュアイスに熱い緑茶を注ぎ、少し前に庭で摘んだメリッサの葉を少し散らして、『ミントジィレップ』と言うカクテル風の姿にしてあります。

緑茶の…しかも新茶をこんな風にアレンジするのは、いささか勿体なく見えるかもしれませんが、三番茶まで頂いた後なら、新たな風味が加わって、楽しみが増えるのです。


「ええ。新たな魔術の幕開けは、

近代登山の幕開けの年でもあったのよ。」

作者は甘く目を細めて私をみる。

「アルプス黄金時代…

1854年9月17日

アルフレッド・ウイルスがヴェッターホルンの初登頂に成功する。

スポーツ登山の幕開けの年になるのですね。」


「うん…なんか、黒ユリの記事から繋げるために調べたけど、なかなか面白いわね。


日本の近代登山を調べると、ウォルター・ウェストンさんがヒットするんだけど、この人、英国人なのよね(-_-;)


普通さ、アルプスとか、でっかい山があるんだから、ドイツとか、フランス人とかがやってそうなのに、あんまり、山のイメージが無い英国?と、不思議に思ったのよ。


日本だけかと思ったけど、本当に英国人が近代登山の火付け役だったのね。」

作者はそう言って難しい顔をする。


「まあ、英国…ハイランドにはハイランダーがいますからね。

クロウリーも登山家としての顔もありましたし。」

私がそう言うと、作者は困り顔でわらう。

「うん。まあ、その辺りで話を繋げようと考えたんだけど、さ。

スポーツ登山って、ある意味、山信仰の冒涜でもあるじゃない?

暴論で言っちゃうと、遊びで山に登るんだもん。


日本だって、明治時代、それについて反発した人もいたろうし、

スイスやドイツの人でも、意味もなく山に登るって発想はなかったのかもね(-"-;)

なんかさ、アルムおん爺にしかられそうだし…。


ウォルター・ウェストンさんって、イングランドの人みたいだし、

山が近くに無いから、そんな事を夢見れたのかもしれないわね…。

ついでに、インドでの茶葉探しなんかも影響したのかも…。

春先に淹れて貰ったニルギリね、19世紀の後半で英国人が茶園を作って販売を始めるのよ。

彼らにとっては、まさに登山とは『宝探し』の意味もあったのかもしれないわ。」

作者は複雑そうな顔をした。

「でも、アルフレッド・ウイルスやウォルター・ウエストが頑張ってくださったから、貴女も自由に登山が楽しめるようになったのでは無いですか。」


そう、江戸時代には、山には神様がいて、それは女神様なので、女性が行くと嫉妬する、なんて女性の登山を禁止する山が沢山ありました。


禁忌を破るトリックスターが登場しなければ、時代なんて変わらないのです。

「まあ、ね。このアルフレッド・ウイルスさん(ダウト!ウォルター・ウエストン)、

日本の山や文化について本を書いていらしたみたいだから、少年クローリーも読んだかもしれないわね。」

作者は嬉しそうに笑う。


「そうですね……。山はモーセが神様から十戒を受けた場所でもありますからね。

西洋でも、神秘の場所だったと思いますよ。」

私はハイランドの貴族と名乗って作者をドン引きさせたメイガースを思い出して笑った。


まさに、百年の夢が覚める…と言った阿鼻叫喚でした。


「ハイランダーかぁ…。そう言えば、ジャンヌダルクの話も書いてないよね(T-T)

ハイランダーを厚遇したのは、確か、シャルル7世。

この話も、考えてないわけではないんだけどね。」

「ええ、レクスも、中央フランク王国再建も!


でも、今は、『パラサイト』に集中しましょう。


10万文字の到達まであとすこしなのですから。」

私は、作者が複雑に考え始める前にそう言った。


10万文字の物語。それは、沢山の公募に投稿するための最低限の条件です。


短編の公募もありますが、やはり少ないのです。


「うん!あと、『魔法の呪文』ね。

あれ、最近、読んでくれた人がいたんだよ(T-T)


私も、まさか、1888年に設定がたどり着くとは考えてなくてさ。

ホント、この時代、凄く…凄かったんだよね。

近代登山の発展は、陸軍の山岳部隊のあり方も変えたろうし……。

そうなると、フランクの物語にも、また、新しい展開が生まれてくるんだわ。

止めてしまって申し訳ないけど、

こっちで、少しまとめたいわ。

『魔法の呪文』は、キャラクター配分が絶妙で、1888年を知るにはいい材料なの。


この場合、フランクの家の使用人ジョージ。

彼は、アイルランドの出身で、アイルランドは、イングランドに植民化されて、19世紀は大変だったらしいわ。


彼の人生を書き込むことでまた、切り裂きジャックの、当時のイングランドの風景に重厚感と新しい展開が加わるかもしれないわ。

って……なかなか、お金になる展開は見えてこないんだけど、ねぇ(T-T)」

作者は夢と現実をかき回したような顔をした。


アルフレッド・ウイルスは、1828年生まれ

イングランドとウエールズの裁判官で登山家です。


ウォルター・ウエストンは、1860年生まれ

イギリス人宣教師。『日本アルプスの登山と探検』と言う本を著作し、

日本の山を登頂している。


あまり、馴染みがないので間違えてしまいましたm(_ _)m

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