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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
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時影、近代魔術を語る 88 黒ユリ伝説

「思い当たるフシ…、成政があれほど激怒した裏側には、それなりの事実があったとしらたら…。」

作者は真面目な顔でおかしな方向へと迷い混もうとしていました。


「思い当たるフシって、私のさっきの発言ですよね?

それは、成政のEdとかを疑っていると言うことですか?」

私は父親を疑われる早百合のお腹の子の話を思い出した。

そして、童話とファンタジーを目指す私の作者が下ネタを始めるのでは、と、不安に感じた。

「イーディって…、

erectile dysfunction…の事よね(///∇///)


ど、どうして、そんな話にっ(°∇°;)」

作者の混乱をみて、私はほっとしました。


童話とファンタジーの世界へ、

子供達に語れる夢の世界へと彼女を導き戻すのが、私の役目でもあるのです。

こんなところで、大人のドロドロで、このサイトを汚すわけにはいきません。

EDをわざわざ英語で表現する混乱ぶりですから、まあ、そちらの心配は無さそうです。


「それは…、普通はそうなるでしょう?

全く、早百合と接触もなく子供が出来たなら、噂ではなく、悪評が流れますし、早百合が呪いの言葉をはけませんからね。


いや、それより、あなたこそ、なぜ、『思い当たるフシ』のフレーズにこだわるのですか?」

私は作者を見つめて後悔する。

なんだか、思春期のやり取りみたいで恥ずかしいので、早く終わらせたいのに、質問なんて。


「秀吉と淀君の事を思い出したのよ。 あちらも、色々噂があったでしょ?」

作者も恥ずかしいのか、ぶっきらぼうに呟いた。


「確かに、石田三成不倫説なんてものも昭和には流行りましたよね。

なぜ、派手な女性関係がありそうな秀吉に子供ができなかったのか、

淀君だけに子が授かったのか?

謎ですからね。

それこそ、酷い噂が飛び交って、秀吉を混乱させたはずでしょうからね。」

私は説明しながら、年齢のせいではないかと思った。

秀吉は年老いていたし、

どちらにしても、憧れの織田信長、市の血筋の子供を実子とするのですから、それで良かったのかもしれません。


「でしょ?思うに、戦国時代なんて、そんなに血筋とかあまり気にしてない気がするのよ(-"-;)

上杉謙信だって実子じゃなく、養子に相続したし。

あの頃の側室なんて、人質の意味があるじゃない?

そう、正妻ではなく側室よ?

別に、家督を継ぐ訳じゃないから、子供を殺すなんてするかな?って、考えちゃうわ。」

作者は眉を寄せてなにかを考える。


「嫉妬……では、理由になりませんか?愛しい人に裏切られて、子供まで作られたのですよ?

西洋でも、その手の残酷な話は沢山ありますが。」

私は作者の恋愛観が、わりとドライな事が気になった。

「だって、武田信玄のいた、あの信州の話よ?

忍者伝説も飛び交う、諜報に特化したイメージの領地で、側室にそんな大っぴらな不倫なんて出来ると思う?

大体、相手の男の話が無いのが嘘臭いわ。」

作者は近所の噂話をするように前のめりに話し出す。

「……嘘だとして、それが何か問題ですか?

これはあくまで伝説ですよ?」

私は昼ドラ展開にうんざりしながら聞く。


「 私は『無人駅』を書きながら、こう思ったの。似た話を読んだ事があるな、と。

そう、『弟切草』の伝説を、ね。」

作者は困ったように笑ってこう続けた。

「誰か、感想欄にパクリ疑惑とか書いてきたら嫌だなぁとか、考えちゃったわ(^-^;」

「『弟切草』と『黒ユリ』の伝説が似ていると言う話ですよね?

『無人駅』ではなく。そんな事であなたレベルの作家に読み手は歯牙をかけませんよ。

それは、自意識過剰と言うものですよ。」

私は呆れてそう言った。


確かに、Web小説ではパクリ疑惑が度々問題になりますが、

なんでもかんでも指摘されるわけではありません。


私の話を不満げに聞いて、作者は好戦的にこう言った。


「あら、私の『無人駅』も、一応、黒ユリ伝説の流れをおっているわよ?

理不尽な嫉妬による殺害。

一族…この場合、村落だけど、これが消滅するわ。

そして、復讐があるんだもの。」

「確かに。

あなたの作品はそうでも、弟切草の話に復讐の要素はありませんよ。

草に赤い斑点があるその説明ですからね。」


私の説明を黙って聞いていた作者は、ノートを取り出して何やら書き出した。

「ごめん、また、脱線しそうになったわ。

問題はそこではないのよ。

『弟切草』の話と『黒ユリ』伝説に、私は似たものを感じたわ。

で、この二つの話は、ハーブについて、怖いイメージを植え付けるための工作だと考えたのよ。

大切な植物を乱獲されないように、ね。


『弟切草』は、鷹匠の兄の薬の秘密で、実際、薬草でしょ?


私は、『黒ユリ』も、そんな貴重なハーブで、よそ者に情報を伝えた成政が殺される話が元ではないかと考えたのよ。」


作者は二杯目のコーヒーを自分で入れて、楽しそうに飲み始める。


『弟切草』の話は、かつて、この伝説にまつわるゲームが流行したので、かなりの人がご存じだと思います。


それは、鷹匠の弟が、一人の女性を好きになり、

弟が、兄の秘密の薬の成分について女に打ち明けるのです。

兄は怒り、弟を殺してしまいます。


以来、弟切草の葉には黒い斑点が…

まるで、切り殺された時に飛び散った血しぶきのような黒い斑点が出るようになったとか。


さて、作者は黒ユリに何を見つけてきたのでしょうか?


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