表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
209/499

時影、近代魔術を語る 87 黒ユリ伝説

「『猿酒』のアンコール、ですか。」

私はまた、面倒に首を突っ込みそうな作者に聞き返した。

「そんな嫌な顔しないでよ。わかってるわよぅ。

『パラサイト』作るのが優先だって。


でも、今回、アクセスが増えたのは、『猿酒』の読者の方が、音声用に作り替えた『猿酒』にポイントをくれて応援してくれたからだわ。


素敵なアンコール作品でお礼をしたいと言うのは…」

「それを『パラサイト』でやっている最中でしょうに。」

私は作者の言葉を(さえぎ)って言った。


本当に……。ふりまじんの集会までに完結なんて出来るのでしょうか?


私の心配をよそに不満そうに私を見る。

「わかってるわよ。でも、こうね…、横っ腹を叩けば順番に出てくるわけでも無いんだもん。


それに、黒ユリ伝説の話は、なかなか興味深いわよ。

さっきも言ったけど、『猿酒』の物語を思わせるわ。


黒ユリの花言葉に『呪い』と『復讐』なんて不気味なイメージを加えさせた人物がいるんだけど。」

作者は挑戦的な笑い顔で私を見つめた。


(さっさ)成政(なりまさ)。秀吉の家臣の一人でしたね。」


この人物の名前は『無人駅』には書かれていない。

Siriが読めなかったのだ。

さ…なりまつり。と言う意味不明な祭りにしてしまうため名前は削除していた。

「うん。ここで秀吉の登場にワクワクしたんだけど、

今日は、その全段階のお話だけするわ。」

作者は嬉しそうに私を見た。


「それについては、少しだけ『無人駅』でも触れていますよね?


昔、佐々成政と言う戦国武将がいて、

織田信長の家臣として、北陸地方を攻め上杉氏と戦い、統治した人物で、

黒ユリ伝説は、その彼の逸話で、

成政の側室に美しい早百合と言う女性がいて、

その寵愛に嫉妬した人物が流したと思われるフェイク・ニュースが城下で炎上するのです。


早百合は、不義の罪を犯して、妊娠した子供は成政の子種ではない。と。


激怒した成政は、早百合を殺してしまいます。

それでも怒りがおさまらない成政は、早百合の一族まで皆殺しにするのです。

無実の早百合は、成政に復讐と呪いをこめてこう言うのです。


『立山に黒ユリが咲いたら、佐々木家は断絶します。』と。」


「なかなか、良い語りだったわよ。時影。


でも、この話、なんか変だと思わない?」

作者はそう言ってコーヒーを飲む。


「確かに、不義の噂くらいで一族を惨殺は嘘臭いですね。

大体、思い当たるフシがあれば、息子殺しを心配して出産してから確認の後に殺すのが合理的です。」


「合理的って(-"-;)

まあ、そうなんだろうけどね。

まず、名前が嘘臭いわ。

黒ユリ伝説だから、早百合とか。

あと、ひときわ美人って言うのも、このての話の盛りよね?


あの短期な信長に使えてるんだから、そんな、感情的に動く人物は、大成できない気がするのよ。」

作者は苦い顔をした。

「明智光秀は?」

「三日天下だったじゃん。

それに、あの武田信玄の統治した土地を手中にし、上杉謙信と戦うためには、冷静沈着でないと人はついて来ないと思うの。


立山がなんとか…なんて言うくらいだから、たぶん、早百合さんは、信州の名家の娘よね?

戦国時代、血縁同盟の意味もあるのだろうから、そんな短絡的な理由で殺すとは思えないわ。


信玄は、人を使ってこの土地を統治したのよ?

つまり、信州の武将は、情に厚く、不義理を嫌ったはずでしょ?


信玄だって…

『情けは見方、仇は敵』って言ってるもん。


突然、愛知方面からやって来て、地元の…しかも美人の妊婦の奥さんをよく調べもしないで殺したら、

敵を作るだけじゃない。

誰の子供にしても、生かしておけば、人質にもなりえるわ。


私も最近、インターネットのフェイクニュースで鍛えられてきたもの。


こう言う、あからさまな怒りを誘うエピソードは調べるべきだと思うわけよ。」


作者は自慢げにそう言った。

「まあ…伝説ですからね。事実ではないのだと思いますが。」

私は嬉しそうに謎解きをする作者をみて呆れてしまう。


現在、初の推理ジャンルの作品を未完で止めているのです。


そんな事を考える暇があるなら………。


私はヤキモキする気持ちを押さえてコーヒーを飲んだ。


「そうね、この話だけだと、そう言われるのだろうけど、後日談の黒ユリの話を、ねねと淀の女のバトルが加わると、なかなか、興味深い解釈が可能なのよ。

もうね……わたし、『無人駅』書きながら、こんなんまた、考えるんだよ(T-T)

もう、アンポンタンだって思うんだよ…私。


ここは、吐き出さないと『パラサイト』に集中出来ないわ(;_;)」

作者はそう言って皮肉な笑いを浮かべた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ