時影、近代魔術を語る 86 黒ユリ伝説
曇り空を見上げながら、私は自室で無防備に昼寝をしている作者の所へとコーヒーを届ける。
テーブルにコーヒーを置いて私はそこに座った。
さて、起こすべきでしょうか?
ジュゴンのようにうつ伏せで寝ている作者を見ながら、これで人魚に見えた若いときがあったことを思い出して笑ってしまう。
誤解が無いように言いますが、子犬のような小さな時からずっと、この気持ち良さそうに眠るジュゴンのような彼女まで、私にはすべて可愛い女なのです。
「ああ、ごめん、寝ちゃったわ(+_+)」
間抜けな顔で作者は私にいう。
「いいえ、気にしないでください。一作完結させたのですから、お疲れになったのでしょう。」
私は笑っていった。
先日、夏ホラー2020参加しまして、評価とアクセスを沢山いただきました。
毎年、少しづつアクセスを伸ばさせて貰っているので、来年が少しプレッシャーでもあるわけです。
まあ、とにかく、今年も沢山評価があったのですから、それでよしとして、今年を楽しみます。
「うん。疲れたよ…(T-T)
歳だねぇ…
少し足腰に来たわ。
と、言うことで、今年もお土産持ってきたわ。」
作者は起き上がり、コーヒーを手にして私に笑いかけ、言い訳するように、こう続けた。
「書かないって言ったけど…。
3話くらいの設定が、頭を回って大変だったのよ。
でも、書いてみて良かったわ。あなたは…未完を早くって思ってるだろうけど。
完結できたのよ…( ´艸`)
思い付いてから一週間で。
私、『パラサイト』で躓いてから自信が無くなってたのね。
だから、素直に完結した事が嬉しいわ。」
作者は目を細めて嬉しさをにじませる。
「よかったですね。」
私は心からそう言ってコーヒーを飲んだ。
「うん。これから『パラサイト』を完結まで書いて行きたいわ。
まあ、その前に、『無人駅』を書いていて黒ユリの伝説を知ったから話をするわね。
なかなか興味深いわよ……。
『猿酒』のアンコールも、考えていたけど、そのネタになりそうな、ね。」
作者は楽しそうに笑った。