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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
206/499

時影、近代魔術を語る 84

『通り魔』は、『祓魔師』のアンコールの意味もある作品だった。


時代も設定も違うが、異常犯罪を扱うところと、オカルト風味がある点でアンコールとした。


あと、人物名…カルロとアンドレが登場する。


祓魔師の役人のふくよかなアンドレは、

通り魔では、中年の顎の発達した筋肉質の主人公になっていた。


姿と時代が変わっても、二人とも世紀の異常犯罪者を追いかけている。


ジル・ドレであり、切り裂きジャックである。


アンドレと言う名前は、有名なあの少女漫画からではなく、古来、西洋の人達が子供の名前の参考にするように、聖人からいただいた。


聖アンドレ。


ガラリア湖で漁をしていたときにイエスさまに声をかけられて弟子になる。


イエスさまはこうおっしゃった。


「あなたを人をとる漁師にしよう。」と。


キリスト教徒でなく、世紀末の霊感商法を見聞きしてきた私には、この台詞はありがたいと言うより、うさんくさい雰囲気があるが、霊感商法なんて知らないアンドレは、素直にイエスに従った。


聖アンドレは、後に黒海からロシア方面までイエスと愛について伝導をし、人々を神の国へと導く漁師になったわけだが、


我々のアンドレは、同じ人をとらえる漁師であっても、悪人を地獄に送り返す役人として登場する。


『祓魔師』がフランスの話なので、名前もこの聖人のフランス名アンドレとなっている。


本来、イギリスの登場人物でつくるなら、イギリス読みにアンドリューとするのが正解かもしれない。が、それではアンコールの意味がわからなくなるし、短編だからいいのだ。



と、言った適当な設定のアンドレ。

ここに来てしっかりと設定が追加される。


1888年、この年に新米刑事なら、ほぼ、メアリーたちと同じ年齢になる。


彼は、1871年11月30日にフランス、パリで誕生することになる。


子沢山の家庭の多かったフランスでは、子供の名前は聖人カレンダーを参考につけていたらしい。

アンドレもそれにもれずに誕生日の聖人の名前をいただいた。


11月30日は、聖アンドレの日なのだ。


近代魔術…を読んでくださった方なら、この1871年に何があったのかお分かりだろう。


そう、フランスはドイツに負けて、麗しのベルサイユ宮殿の鏡の間でヴィルヘイム1世が初代ドイツ皇帝に即位された。


ビスマルクには栄光の年となっても、フランス人からすれば敗戦が決定した年である。


戦争に負ければ、賠償金やら何やら、ドイツにぶんどられるわけだから、生活が悪くなる。


1873年には、ウィーン万博が開催され、日本も公式初参加をはたした明るい年のはずだった………


はずだったのだが、その直後にウィーン証券取引所の暴落でオーストリアは大不況に陥るのだ。


wikipediaでは、コレラまで流行ったとあるのだから、現在、オリンピックが延期され、コロナに悩まされる私達も当時のウィーンの人達に同情と共感をしてしまう。


全く…泣きたくなるのは、アンドレの両親も同じである。

同じヨーロッパにすんでいるのだから、悪い方に影響を強く受けてしまったのだ。


失業したアンドレの両親は、親族を頼ってイギリスへと移住をするのだ。


名前はフランス風味でも、聖アンドレはスコットランドの守護聖人であり、イギリスの国旗のXの部分にもそれは反映しているんだそうだ。

そんな守護聖人に見守られ、アンドレはロンドンでも愛されて育つ。


そんなアンドレは、腕っぷしも強く、ご先祖様のノルマン人の特徴を受け継いで肩幅も広く身長も高い、

リバプールの下町で少年時代は喧嘩ばかりしていたが、守護聖人と同じくイエスさまの導きで、青年になる頃には街を守る方向へと成長をし、警察官になった。


日本で言うところの巡査のようなものだが、イギリスの警察組織は複雑で、今回、それは必要ないのでまあ、日本の巡査の雰囲気で流してゆく。


イギリスの警察と言うと、スコッランドヤードを思い浮かべるが、

多分、かれはロンドン市警の所属だと思われる。


馬に乗って街を巡回したりしたのだろうか……?



「もうっ。連載小説放って、なに考えてるんだろうね(T-T)」


ここまで考えたところで作者は叫ぶように泣き言を言い出した。


「本当に…貴女の想像力には呆れますよ。」

私が笑うと作者はふて腐れた。

「もう、他人事みたいに…はぁ……魔法の呪文にアクセスがあったんだよ…。

再開を待ってる人がいるんだよぅ(T-T)


9万文字まで行ったのに……、何してるんだろうね、私はっ(;_;)」

「それでも……、この辺りを固めないと、あとあと面倒になりかねませんし、

物語の終わりは見えませんからね。

それに、こちらはクローリーから切り裂きジャック、ビスマルクと、名前のタグには出来すぎるほど良いメンバーが揃っているのですから、掘り下げて悪いことはありませんよ。」

私は作者を慰める。


そう、複数の物語を相手にするダンジョン型の思考の彼女は、集中してひとつの物語を終わらせることは難しい。


けれど、次の弾が充填されている状態の我々は、筆が折れにくい。

それは、私が作者とこうしていられる時間が長く続くと言うことです。

通り魔の続きは…、書ききることが出来れば、少しはアクセスを稼げる物語になるかもしれません。


書いていて良かったと、あの人が私に笑いかけてくれる、そんな物語に化ける可能性を秘めている気がするのです。



「こんな事をしてるうちに夏ホラー始まっちゃったよ(;_;)

一年経っちまったよ(T-T)


今年は『駅』だって……。

駅って…、さすがにこの設定の関連ないよね?

どーしよう?」

作者は少し酔った頬を夜風でさましながら、困惑の薄ら笑いを浮かべて夜空を見上げた。


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