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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
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時影、近代魔術を語る 82

さて、どうしましょうか?


混乱する19世紀の北欧史に混乱する作者を安全なストーリーラインへ戻して行く道を探さなくてはいけません。


ドイツ皇帝の暗殺に英国王家が関わっていた…なんて話が重すぎます。


貧民街と呼ばれたホワイトチャペルの猟奇殺人が、ヨーロッパ全土にまたがる大陰謀にしてしまったら、もう私の作者では手におえなくなるのは火を見るより明らかです。


『通り魔』は、完結した短編ですし、『魔法の呪文』は少女のための童話なのです。

主人公のメアリーは、マイヤーリンクの真実など知る必要はありません。


彼女が知らねばならないのは、フランクの気持ちと真実の愛。


私の作者にダークファンタジーなど扱いきれるわけは無いのです。


第一、読者層が変わってしまいます。


ダークファンタジーでは、小さな女の子とビーズの指輪を買ってもらえるような、そんなお話にはなりません。


はじめからやらかして、ノストラダムスとホラーの世界から抜けられませんが、童話はまともに書けているのです。

あちらの世界が闇に染まるような事があってはならないのです。


切り裂きジャックの事件は、現在、大人が読んでも凄惨で不気味なものです。 沢山の作家が、この深い闇の魅力に取り憑かれて作品を残して行きましたが、私の作者には必要が無いものです。


私は、切り裂きジャックの被疑者にされた、ある高貴な人物について調べることにしました。


アルバート・ヴィクター王子


ヴィクトリア女王のお孫さんにあたる方です。


このような高貴な方にまで容疑がかかるのは、切り裂きジャック事件の関心の高さと世紀の未解決猟奇殺人事件だったからでしょう。


しかし、アルバート・ヴィクター王子への疑いはすぐにとかれたはずです。


ただ、ドラマチックな設定に、私の作者のような人間までのるのですから仕方ありません。


それにしても、これほど高貴な方が、わざわざホワイトチャペルに娼婦をかいに行くなんて、現実にはあり得ない事でしょう。


彼の身分であれば、見目美しく知的な女性を宮廷内で好きにできるはずだからです。


私はあまり情報のないアルバート王子の履歴の急な心臓病で亡くなったと言う情報に眉をしかめた。


「まさか、英国のアルバート・ヴィクター王子まで暗殺なんて言い出しませんよね?」

私は作者に質問した。


ヨーゼフ一世のお母様から、息子、ドイツ皇帝まで、なんでもかんでも暗殺しすぎな気持ちがします。


「はぁ?ああ…切り裂きジャックの事件で疑われた王子さまか…。

そっちは暗殺というより、英国王室が恐喝されてた気がするわ(-"-;)

なんかさぁ……

私、トンでもない設定の地雷を踏んじゃったかな(T-T)」

作者はくしゃっと顔をしかめて深くため息をついた。


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