ダ・ヴィンチの偽コード 11
とはいえ、長々設定をかいてもつまらないから、折角出来たキャラを使おう。
ガブリエルになりきって、少しアヴィニョンを散策してみようじゃないか!
よしっ。私はガブリエル…16世紀のアヴィニョンに立っている。
クリスマスの小遣い稼ぎに貴族の屋敷で詩を朗読し、その礼をもらうために控え室で待っている。
あっ、足なげーなぁ…
私は組んだ自分の足を眺めながら、何やらおかしなトキメキを感じた。
そう、私はガブリエル。
身長は、約6フィート。
手足も長ければ、ウエストだって引き締まっている。
こっ、これは、もしや…
私は、夢の腹筋割れをみたくて、つい、服をたくしあげたくなるが、ぐっと我慢した。
いかん。私は、あくまでイケメンのガブリエルだ。
イケメンのイメージを崩してはいけない。
とは、思うが、どうしても気になって、近くのガラス張りの棚に自分の姿を写して、顔の確認をしてしまった。
すっと伸びた形の良い鼻。少し、鼻先が風に当たる感じがする。眉は当たり前だが金色で、真一文字に上に向かって優しく延び、印象的なサファイア・ブルーの瞳は…やや下がりぎみの目尻に甘さをたたえ、自分でも思わず二度見したくなる美しさだ。
これがイケメン…
シークレットブーツをはいてないのに、棚の上の段に目線が来る。
私は、いつもより少し高いところの風景を不思議な気持ちで眺めながら、左手を胸に、右手を天に向けて、芝居がかったポーズをとってみた。
棚のガラスに写る影が私に囁く。
OH!IKEMEN。
なんだろう?人はイケメンになると、はしゃぎたくなるものだ。と、そこで、外からの足音を聞いて(さすが、耳がいい)、急いでイスに座り直してすましていた。
扉が開くと、厳格そうな執事が私に銀貨を2枚くれて、静かにほほえむと
「また、いつでもいらしてください。」
と、バイトクラスの人間に与えるには、最上級の言葉をかけて送ってくれた。
銀貨を1枚。この時点で、私はネットに検索をかけた。
色々みてると、金貨は国家間の取引に使われるので、規格が大まかに決まっているが、銀貨以下はわりかし自由だったようで、イギリスの銀貨の方がフランスの銀貨より重いようだ。
色々とみて、自分の話の世界では、銀貨は三千円くらいの価値に決めた。
現在、時給約千円として、六千円も貰えたら、学生なら良い仕事、ではないだろうか。ルネッサンスでもそれは一緒…と、いうことにしよう。
私は、すぐに行き詰まる性格だけど、インターネットの時代だから、なんとなく時代小説が書けている…と、21世紀のテクノロジーに感謝しつつ…
こんなだから、終われないんだ。と、痛感する今日この頃。
さて、屋敷を離れて、今度こそアヴィニョンの街にいってみよう。