時影、近代魔術を語る 56
さて、ここで突然だが12月に話を戻す。
今まで語ってきたのは、曲で言うなら主旋律。
急いで終わらせたかった『パラサイト』の世界である。
この作品は、私の頭を整理するのが目的であるが、
読者にエタり作品を
「今作ってますよ〜」
と、少しばかりの誠意と努力を見せる場でもある。
誰だって、エタなんてしたいわけではないのだ。
そして、長々と語り続けた話は、学校の教科書で学んだ偉人よりもしぶとく頭にこびりつくので、終わらないのは、書いている方だって気持ちが悪いのだ。
終わりたい
終わらせたい(T-T)
でも、頑張るほどにエタの蟻地獄から抜けられない°・(ノД`)・°・
まったく…どうすりゃいいんだか。
と、言う作者の頭の中をちょっと覗くイメージで、この物語は書いている。
今まで、西条八十と言う人物と、イギリスについて語っていたが、これをバイオリンの主旋律とするならば、これからお話しするのは、それに寄り添うピアノの旋律。
さて、同じときに何を考えていたのか…
私と同じような事を思い浮かべる人がいたのか…
まあ、近代魔術の枠で語っていたので、ピンと来た人もいるだろう。
そう、私は八十とイギリスの妖精の話を考えながら、アーネンエルベから金を騙しとる方法を考えていた。
その話は今はしない。
その前に12月。やはり古本屋で運命的な本に出会う。
遺伝子とゲノム
東欧革命
どちらも岩波書房の書籍である。
赤い表紙のその本は、多分、通常なら図書館ですら私は手にしないだろう部類の本である。
が、『パラサイト』と『魔法の呪文』の連載を抱えていた私には救いの神のように見えた。
とにかく、『魔法の呪文』を書いていて、自分がいかに東欧の歴史に疎いのかが分かった。
で、なんだか複雑になる話を何とかするために、東欧の情報を頭に入れる必要にかられた時だった。
なぜか並んで棚の上の方にあったその本を見て、私は運命を感じた。
これでプラハからはじまるリリアの悲恋についてかけるかも…
その場で『東欧革命』のページを開いた。
リリアは、『魔法の呪文』のサブキャラで、彼女の悲恋が物語のキーになる。
まあ、公募に応募していたが童話だし、少女小説なので、こんなに面倒な設定なんて組みたくはないのだが…
色々あってドツボに落ちたのだから仕方ない。
別に、東欧に思い入れがあったわけでもない。
ただ、ヴィーナオーパンバルの純白のドレスの舞踏会の話をしたかったのが発端だった…
ついでに、クラッシックの知識を頭に入れる目的を果たすためだった…
が、この時代、活躍した音楽家の壮絶な人生が、私の物語を面倒に巻き込むのだった。
ショパン…
美しいノクターンの旋律に潜んだ彼の波瀾万丈な人生が、私の適当な童話の主人公を混乱させるのだ。
この頃の東中欧諸国の社会情勢が、童話キャラを『渡るドイツは鬼ばかり』にしてしまう。
もう…
が、仕方ない。もう少しで10万文字なんだから、やるしかない(>_<。)
岩波書房の赤い表紙を開いて広がる世界は…
1989年ホーネッカーと言う偉い人と、東欧の混乱からはじまるのだった…
1989年、ホーネッカーはまさに世界史が大きく動くただなかで、舵取りを迫られていた。
1989年…本に出てくるその年号に、私も物語の世界が…ガラリと変わって行くのを感じていた。
ああっ…
ここまでこの話を読んでくださった方には、この意味を爆笑と共に理解してくださるだろう(///∇///)
ああ、私だって…軽いめまいと笑いが込み上げましたとも!!
そう、1989年。それはヒトラー生誕100周年であり、私はその話を近代魔術の枠で切々と語り、
その謎を追う、日本のジューナリストの北条の話を盛っていた。
1989年、それはっヒトラー生誕100年周年であり、
日本が昭和から平成へと移り変わる時代の転換期だと!!
あーあ。やっちゃったよ〜(~_~;)
私はめまいがした。
それは、時の東独社会主義統一党書記長
エーリッヒ・ホーネッカーにはかなわない。
なにしろ、彼はゴルバチョフとやりあうはめになるんだから。
それに比べれば、なろうの小説のエタリなんて、米粒ほども悩む必要なんてないのだろうが、
私はこの古本のホーネッカーを見つめながら、本屋で今後の物語の展開を苦慮することになる。
そう、1989年、ベルリンの壁が崩壊した年である。
こんな歴史的な事があったと言うのに、
ヒトラーやナチスの秘密を探る日本のジューナリストが、それに触れずに日本の元号と結びつけて驚くわけはないのだ。
と、言うか、そんなジューナリスト、無能に違いない。
はぁ…(´ヘ`;)
パラサイトだけでめまいがしそうなのに…
令和の始めに書いた記事が、ゾンビのように訂正を要求しながら無意識のアビスからうごめき出すのを感じた。