時影、近代魔術を語る 55
「夢をみるのはご自由に。さあ、『パラサイト』を作りましょう。」
私は早口でそう言って作者をあおる。
どちらにしても、二次作は投稿できないのですから、頭の中で考えているしかないのです。
が、今回、作者は食い下がる。
「だからっ…、手塚アニメは大丈夫なんだって!」
「それは、向こうが相手にしないですから、別のサイトなら投稿できるでしょうが、一つ、一つ、片付けないと、本当に未完王になりますからね。
それに、二次では小銭稼ぎができませんよ。」
私も面倒くさくなって、少し雑に作者に話す。
作者は渋い顔で私をみて、
「だから…はじめの作品。二年もののエタ『ノストラダムスをしってるかい?』を動かすためなんだって!」
と、ぶっきらぼうに言った。
「『ノストラダムスをしってるかい?』ですか…。」
私は遥か昔に感じ始める、否、考えないようにしていたリストのしたの方の赤字の作品を思い出す。
私の顔色に、自分の考えが飲み込めたと考えた作者は、穏やかな顔になって続きを話し出した。
「まあ、ね。手塚アニメは、ヒマラヤクラスの遠い夢よ。
でも、昭和の冒険ものの雰囲気を作る手助けにはなるわ。
まあ、本当に私が見たいのもあるけれど。
手塚先生は、『マリンエキスプレス』で、自分のキャラクターの二次作品…と、言うか、自分のキャラクターで劇団をつくられたのね。
だから、名前や、設定が全く違う作品でも、
後付けで手塚アニメに変身させられるのよ。
これ、凄いわよね。
この場合、別に、今、なろうで作品を書いていても、著作権違反になる要素を入れなくても、それでいいわけよ。
私も、YouTubeで『マリンエキスプレス』を見るまでは、そんな事を考えもしなかったのだけどさ。」
作者は照れ笑いをする。
が、私は知っているのです。そんな事を言い出した本当の意味を。
「AI手塚と競争したいとか…また、バカな事を考えてますね。」
私はため息をつく。
「いいじゃん( 〃▽〃)
別に、勝手に思うだけならさ。
と、言うか、
AI対なろう作家
どちらが上なのか、人か、ロボットか、そんな話をね、ちょっと、読みたくなってさ。」
「AI対なろう作家ですか。なにやら、笑い声が聞こえてきそうですが。
まあ、それは、今の作品が終わってからにしてくださいね。」
私は困り顔で作者を見つめた。
「まあ…、そう順番に話が進めば楽なんだけどさ(;_;)
ここに来て、こんなバカな事を空想して楽しんでいたら、
北条のもつ、茶色いノートの物語が動き出したのよ…。」
作者はやりきった顔で目を閉じて肩をすくめる。
なるほど…。
北条の物語は、この近代魔術…枠の習作のキャラですが、1970年から、何かを追っているのです。
この話を手塚アニメ…ですか?
なんだか、キャラクターが違いすぎる気持ちもしますが、さて、問題なく進めば良いのですが。