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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
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時影、近代魔術を語る 54

私が戻ると、作者は舞台を昭和の平屋の茶の間に舞台を変えていた。


畳に丸いちゃぶ台。


「なかなか雰囲気あるでしょ?」

作者はちゃぶ台に茶色いノートを広げて微笑んだ。


この時代。現在と違ってバリエーションがあるファッショナブルなノートなんて、あまり売ってませんから、実用的な茶色いノートです。


「ええ、貴女のやる気を見た気がします。」

私はこの話が短く終わらない予感にため息が出そうになる。


しかし、黙ってお茶を作者に渡すと話を始めた。


「次は手塚治虫ですか…。」


そう。YouTubeが作者(かのじょ)におすすめしたのは、手塚プロダクション公式の『マリンエキスプレス』のオープニングシーンだった。



「うんっ。」と、元気に返事をしてから、作者は私に少し遠慮をして「うーうん…(--;)」と、苦笑いをこぼした。


まあ、自分の現在の立場は自覚があるようです。

私が肩をすくめると、作者は愛想笑いを浮かべて話を始めた。


「だ、大丈夫だよ…。手塚治虫の作品も、ここでは使えないって知ってるから。

『パラサイト』を終わらせるのが先なのも、『魔法の呪文』を考察するのも…優先しなきゃいけないのも、分かっているわ。


でも…書かないと、頭にこのイメージがたまるんだもの。

ホント、なにかしらね、あのYouTubeのおすすめ、たまに、異界からの未知の生物に操られてるんじゃないかと、考えるときがあるわ(-"-;)


このタイミングで『マリンエキスプレス』が見られるなんて!!」

作者の煽りを私は冷静に受け流す。


「AIによる新連載が始まるそうですから、

その宣伝もかねているのでしょう。」

私は苦笑する。(が、動画はずいぶんと前にアップされたものでした。)


噂によると、モーニングという雑誌でAIによる手塚漫画の連載が始まったのだそうで、

その関係で、YouTubeでも手塚アニメの動画が、おすすめに入りやすくなったのかも知れません。


「うん、AIだって!とうとうAIが作品をつくる時代が来たんだね…。」

作者はため息をつく。


これが、もうひとつの悩みの種です。


そう、我々も人工知能と小説を書く老女の話を作っていまして…

こちらは、一話完結で、連載中(あけっぱなし)にはしてますが、気が向いたら書く程度の扱いで良いのですが………


作中AIのミズキと言うキャラの為に、作者はたまに図書館で、人工知能の本を読んでは研究しているものですから、この件でも引っ掛かる。


「そうですね。でも、昭和の人達が夢見たような機械化世界には現実にはなりませんでしたがね。」

私は作者をクールダウンさせたくて素っ気なくいう。

「うん。まあ、そんなもんだよ。でも、こっちだって知らなかった昔の事を現在、知ることになるのよね!

『マリンエキスプレス』のオープニング曲って、ゴダイゴのメンバーが歌ってたんだね(@_@)知らんかったわ。」

作者は、70年代の世界に意識をトリップさせて物思いにふける。


いけません。


こんな事をしている場合ではないのです。


「もう、いい加減に本題に入らないと、

ここは、歴史のカテゴリーなのですからね。

基本、戦前のお話をしないと。」

私の台詞に作者はハッとした。

「ああっ、ごめん。ごめん。

でも、この話は、1970年代の話だけれど、

その昔の話でもあるんだから、仕方ないわ。


マリンエキスプレスのオープニングを見せてもらって、この作品が1979年のものだって分かったの。

で、ね、この年を聞いたら、思い出したのよ。

1979年…それは、月刊『ムー』が創刊した年だって!!

ちょっと、びっくりよね?

そして、この年はあの『林檎殺人事件』のブームを作った伝説のドラマ『ムー一族』が最終回を迎えた年でもあるのよΣ( ̄□ ̄)!」


「………。」


ムー一族…。郷ひろみさんと樹木希林さんの掛け合いが楽しかったファミリードラマですが…

題名がムーでも、そのような番組ではありませんでした。


無言の私を、作者は地獄に魂を引き入れようとする悪魔のように狡猾に見つめながら、作者は私を口車にのせようと(くわだ)てるのをかんじます。


「ふふふっ。時影…まだ気がついてないようね(* ̄ー ̄)

1979年、この年にこの様な状況が頻発(ひんぱつ)したのは、理由があるのよっ。


時影、近代魔術を語る 51を読んでくれた読者なら、ピント来たはずよっ!(なんて台詞言う日がくるとはなぁ(^^ゞちょっと、楽しい)

1978年テンプロ・マヨールのウィツィロポチトリ神殿から、巨大な円盤が発掘され、太平洋地域の文明について世界の注目が上がったからなのね。


手塚先生は、太平洋戦争のからみで、メソアメリカの話を作っていたのかと思っていたけれど、

わりと、時代と流行を追っていらっしゃったのかも、知れないわね(--;)」

作者はそう言って、なんだか納得していた。



「もう、気がすみましたか?」

私はカモミールティを飲み干してから、ゆっくりと作者に聞いた。


さあ、これで連載中の作品に集中できます。


私が安心していると、作者は慌てて私に声をかけた。


「落ち着くって、話はこれからなんだって!

ルパン三世はダメでもね、

手塚アニメの夢はみれるんだからっ。」



手塚アニメって…


まあ、誰しも夢を見るのは自由ではありますが…。

私には悪夢の予感しかしてきません。


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