時影、近代魔術を語る 47
ショクダイオオコンニャクとは、漢字で燭台大蒟蒻と書く。
文字の如く大きな蒟蒻なのだ。
「ねえ、知ってる?
燭台大蒟蒻の原産地って、スマトラ島らしいわ…。
ここら辺から、ラピタ人がちらつき始めるのよ…。」
作者は、遠い目をした。
ラピタ人とは、あの有名なアニメの天空の部族ではなく、
今から3000年位前に存在したと言われる海洋部族だ。
「北城?でしたか。彼、オーディションの音無モデルですか?
彼、飛ばしていましたね。」
私の言葉に、作者はため息をつく
「うん…、コイツ、マジで大変だったわ…
2019年の7年前が2012年だったので、そっから一気にオカルト世界に物語を引っ張り混みやがった。」
「言葉!話し方が下品ですよ?」
私は、頭をかきながら文句を言う作者を冷たく批判する。
ああ、上品な会話を作者とする、私の夢は遠いようです。
「だってぇー。北城がぁ、北城の奴が、物語の筋を曲げてくんだよ?
『蜜蜂が死滅したら、人類が滅亡する…Byアインシュタイン』
とか言ってさ、主人公の気持ちと筋書きをもってくんだよぅ(T-T)
これ、私の話なのに、
私が全能者のはずなのにっ。」
作者は、悔しそうに叫んだ。
「『Byアインシュタイン』は、言ってないと思いますが、
その台詞につられて、ムーブックスの古本取り出して喜んでいませんでした?貴女も。」
私は、呆れながらも作者に笑いかける。
全く…、仕方の無い人なのです。
「……。そんなん、仕方ないでしょ?
キャラと言えば子供も同然だし、発言した事柄を調べるのは、話を作るためにはすることじゃない。
しっかし…、北城って、うまいんだよ…、蜜蜂の大量死の話なんか主人公の池上にして、一気に気を引くんだもん。
他の人たちは、どんな風に話を作るのかは知らないけど、
私は、基本、主人公の語りで、おこった事柄を主人公を演じながら語る、感覚で書いてゆくのよ。
だから、北城が、蜜蜂の話をしたとき、池上が2012年の記憶を思い出すのを一緒に感じるわけよ。
彼は、殺虫剤の会社に勤めていて、その時の苦労話とか…。
で、それに合わせて、世界観が変わって行くの。
私も、キャラのアドリブがこんなに効くとは思わなかったけど、
奴は、多分、レアケースなんだと思うわ。」
作者は、ため息をつく。
「そんなに他のキャラを誉めると、私、ヤキモチを妬きますよ?」
私が少し嫌みに言うと、作者は、あからさまに呆れた顔をした。
「ばかばかしい…。はぁ(´ヘ`;)
これ、『オーディション』のアンコールの意味があるから、それにあわせて、繭蛾の話がイメージにあって、常世虫やら、虚ろ舟やらの話を北城が始めたときは、もう、どうしていいのか、分からなくなったわよ。」
作者は、私に甘えるように文句を言い、私は、そんな作者のつぶれた顔に、特別の存在の自分を感じて笑ってしまうのです。
「まあ、でも、面白かったケド。」
作者は、そう言ってクスりと可愛らしく笑った。