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茶色いノート  作者: ふりまじん
近代魔術を語る
164/499

時影、近代魔術を語る 42 西條八十6

コーヒーを飲みながら作者はため息をついた。


「しっかし…、wikipediaを参考資料って、手軽かと思ったけど、とうとう私もwikipediaの洗礼を食らったわ(-_-)」

作者は不機嫌にぼやく。

「せんれい…ですか。」

私は、彼女の向かいの席で賭け事に負けてヤサグレたようなふて顔の作者を見つめた。


「うん。なんてーのかな?

なろう作家を批判するコメントに、

参考資料はwikipedia

なんてのを見つけてね、でも、わりと便利だし、面倒ないからと使っていたんだけれど、西條八十で引っ掛かったのよ。」

作者はふてくされていた。

「失敗したのですか?」

私は、不思議な気持ちで聞いた。西條八十が登場する物語はない。

確かに、『パラサイト』で、最新話に少しだけ名前は登場するが、それのどこが問題だというのだろう?

作者は、そんな私をちらりと見て、落胆のため息をつく。

「未遂よ…みすい。でも、こっちの記事でバァァンっと、バカをさらしそうになったわ。

私、wikipediaの文章を読み間違えていたのよ…。

西條八十は、1919年、『砂金』を出版してすぐに留学したように勘違いしたの(´ヘ`;)

でも…wikipediaの記事には、留学の日にちが書いてなかったから、一応調べたわ。そうしたら…出てきたのよ…。

八十のフランス留学について!」

作者は、顔をクチャクチャにして頭をかきむしり、話を続けた。


「全くもうっ。私の知識の無さには笑えないけどさ、今回は本当にヤバかったわ(;_;)

私、『トミノの地獄』と妖精を関連付けたくて、

八十は、イギリス文学にも詳しい人に違いないと考えていたのよっ。


まあ、ね、この時代、夏目漱石を知らない物書きは存在しないだろうから、イギリス文学も知らないって事はないだろうし、

現代の一般常識レベルでも、大正時代では凄く知ってると言われると思ったわ。

まあ、設定用の私の空想だし、まあ、適当でいいやって、八十はフランスに留学したけど、英語の方が堪能に違いないと考えていたの(///∇///)」


と、作者はここで赤面しながらおでこをテーブルに打ち付けた。


はぁぁぁっ( ̄□||||!

「もうね、調べてよかったわ…。

なんか、西條八十について書いてくださるありがたい人達のサイトがあってね、どうも、八十は早稲田大学でフランス語を教えていたみたいなのよっΣ( ̄□ ̄)!

もうさ、なんての?


西條家の人だって、八十がイギリスの妖精の物語が好きだった…くらいの話は笑って許してくれると思うのよ?

童謡も発表されているし…、

でも、フランス語は英語より上手くないなんて…

いい加減なことを書いちゃったら、さすがに怒られるわよ(>_<。)


知らないところで、早稲田大学の仏文科にまで喧嘩売っちゃうところだったわ(T-T)」

作者は、深くため息をついていますが、なろうの一桁の底辺作家に真面目に喧嘩を売るような早稲田大学関係者なんて、居ないと思います。


「………。それは大変でしたね。」

私は、他人事のように言った。

「バカにしてない?」

作者は、テーブル伏していた頭をあげて私を睨んだ。

「バカにはしてませんが…、そんなことで我々の作品の指摘なんてしに来ませんよ…。

残念な事ですが、なろうのブックマーク一桁のこの作品に出会う確率も低いですし、

指摘する方が、恥ずかしく感じるかもしれませんからね。」

私は、少し寂しい気持ちで作者を見つめた。


こんな事で、傷つく人では無いけれど、

なろうで昭和風味の冒険小説…エロなしで書こうなんて、随分と読者層から外れている気がするのです。


「そうとも限らないわよ?」

作者は、膨れっ面で困り顔で私に話しかける。


「ネットの検索機能をバカには出来ないわ…

たまたま、西條八十で、この記事が検索欄に抽出されて、

気のいい老紳士が目にしたら、この、恥ずかしくも長い設定作品『茶色いノート』をみて、

真面目に作品を作ろうとしている、なんかいい人とか、そんな風に思われて、つい、コメントされるかもしれないじゃない(/-\*)

フリマの延長の小銭稼ぎに書き始めただけで、

MMRとか、ノストラダムスとか、そんなんを考えてババーンと、昭和の漫画風味の話を作ろうとしてるけど、

『宝島』のスチーブンソンとか、『トムソーヤ』のトウェインを目指してるとか思われて、立派なコメントで、

失礼ですが、西條八十先生は早稲田大学でフランス文学の教師をしておりました。

なんて言われた日にゃ…

私もどうしていいのかわからなくなるわよ。」

作者は、真っ赤になってふてくされる。

「まあ…そうなる前に知ることが出来てよかったじゃないですか。」

私は、変なところに恥ずかしがる作者をみて、へんな笑いが込み上げる。


作者もそんな私を見て、笑い出した。


「まあ、ね、それはそれで面白そうではあるわ。

私、きっと、友人にそのコメントを読んで聞かせるわね。

こんな事でもないと気がつかないんだけどさ、

上品な人の文章を読むときって、皇室関係の方々みたいな読み方になるのよね…。ふふふっ。」

作者は、その情景を想像して笑い出す。


それから、ハッとしたように私を見て、


「でも、ただでは転んでないわよ。

八十は、大正5年1916年にフランスに留学しているらしいわ。

正確な情報かはまだわからないけれど、

本当なら、生きているメイガースとニヤミスをしている可能性はあるわけで…

『通り魔』のお話と共に、新たなお話が展開するのよ。」

作者はそう言って、嬉しそうに苦笑した。


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