作者、近代魔術を語る 41 西條八十
少し遅くなったが、明けましておめでとう。
去年は風邪で熱に浮かされたが、
今年は連載の混乱で頭が爆発しそうだった…
初夢は、常世虫の少女だった。
また、終わらない話を増やしてしまったが仕方ない。
恥ずかしいし、ろくでもないが、私は、「パラサイト」と言う連載を書いている。
一万五千文字の短編で、「オーデション」と言う話のアンコールのつもりだった。
短編を終わらせた経験はあるし、今まで問題もなく、結末までちゃんとついていた話だった…
北城が登場するまではっ(T^T)
コイツ、飛んでもない奴で、作者の私も丸め込んで、話を混乱させやがった…(´ヘ`;)
が、まあ、収穫もあった。
なかなか面白い知的冒険を正月は楽しめたのだが、
時期が悪い。
私は、早くこの連載を終わらせたかった。
パラサイトについては、公募の締め切りを目標にゆっくりすすめるとして、
ここで知り得た話をしたいと思う。
北城の登場で「パラサイト」は、混乱したが、こちらには面白いエピソードを提供してくれる事になる。
西條八十だ。
西條八十は、大正時代の詩人で、ロマンチックな作品が今でも人気である。
東欧…の方で少し書いたけど、蘇州夜話などを手掛けている。
1919年、砂金と言う詩集を自費出版し、活動を開始する。
つまり、活動開始100周年の記念の年が去年だった。
ダ・ヴィンチも没後500年の節目であったけれど、
去年の夏ホラーのネタを探していたので、西條八十を調べていた。
彼の詩集『砂金』に収録された詩に『トミノの地獄』がある。
この作品は、後に八十すら思いも寄らない都市伝説が語られるようになる。
『トミノの地獄』と言う詩を音読すると、不幸になると言うものだ。
それが本当かは知らないが、美しくも残酷な、大正ロマンの八十の詩を目にする機会としては良いと思った。
が、去年のホラーの題目が病院だったのでお蔵入りし、
まさかの年末に、うちにも現れた「妖怪ブクマはずし」に導かれるままに、私は、無理を踏み倒して作り始めたのが「パラサイト」と言う作品だ。
ブックマークを剥がされてもいっこうに構わないのだけれど、
「オーデション」は、活動史上、自己ベストのブックマーク5の作品で、
一年半も、それを保持してくれていたので、思い入れで判断力がおかしくなったのだ。
まあ、その話はここではやめとく。
とにかく、そんなこんなで、頭に入れていた西條八十と言う詩人の話は、
大正ロマンとエログロのきらやかなイメージだった。
『トミノの地獄』と言う詩は、
鴬の谷が登場もするが、
金の羊が登場したり、なんだか西洋風味も入っていた。
金の羊と言えば、牡羊座の伝説を浮かべてしまうからだろうか。
そんな八十の美しい狂気の世界で設定された物語は、12月に一万五千字の短いもので終わるはずだった。
よくある悲恋ものの不気味な世界で。
しかし…
北城の登場で物語が、違うダンジョンへと迷いこんだのだ。
このとき、八十の詩にうたわれたトミノの吐いたたまが、
ヌクレオチドのたまになるのだ。