作者、近代魔術を語る 16
クローリーの実力がどうであれ、当時のイギリス諜報部は彼を軽く調べていたに違いない。
だって、親方のチャーチルが、やるって言うんだから、やるしかない。
しかし、クローリーをチョイスしている時点で、この人達、神秘術なんて信じてないや( ̄▽ ̄;)
知らんが、私はそう思う。
クローリー、1922年辺りでシチリア島で教団作って、おかしな儀式をはじめては地元の人をびびらせ、
仲間の一人が、動物の生き血をすすって病気になったりしてる…。らしい。
クローリーも後に薬物による中毒症状もあったみたいだし、
私がMI6の職員でも関わりたくない存在だ。
映画のエージェントは格好良いけれど、
実際、仕事する人は、大変だと思う。
ピストルやら、美人なんて、登場しないと思う。
こんな奇妙なオッサンの相手は、大概、暇そうな大人しい人間で、
長期の出張をさせても、体制に問題ない人物なんだよね…。
うろ覚えだけど、オカルト作戦の前の辺り、多分、クローリーはエジプトあたりに居たような気がするから、こんなミッションが回ってきたら、同僚に変な土産を頼まれたりしてそうだ。
「まあ、バカンスだと思って、ゆっくり調査をしてきてかまわない。」
とか、なんとか、上司に言われて、エージェントにされたMI6の人は、船の旅をしたんだろうか?
たどり着いた先で待っているのは、不思議な威圧感のある怪しいおっさん。
で、真面目で標準的な生活をしている英国人には、なかなか言い出せないに違いない。
オカルト使って、ドイツの奴らを化かしてやろうぜっ☆
なんて、そんなこと。
本気で、はまっている人間に、素人がそんな事を口にしたら、面倒になるのは当たり前だ。
例えるなら、恋愛だ。
相手を本気で好きなことを知られたくない。
だから、興味のないふりをしているが、
何かの拍子に、好きな女の子をソイツの前でからかったりしたら、殴りあいの喧嘩になる事だって無いわけではない。
オカルトも恋愛も、真剣なひとからすると、デリケートな問題だ。
気を使う事案なのだ。
晩年のクローリーは、悪霊やら、借金やら、体調不良で大変だったらしいが、
果たして、この人は本当に魔術師なんだろうか?
昔はカッチョイイ魔術師のクローリーを信じて疑わなかったのに。
なんか、ダリのようなエキセントリックな演出好きの、そんなインチキオジサンしか浮かばない(^-^;
なんか、昔の刑務所とかを改装して住んでいて(魔術の力を増幅には、刑務所やら、墓場など、激しい感情が渦巻いている場所が良いらしい)、
クローリーは、訪問する人物をからかったりしてそうだ。
多分この頃、ユダヤ系アメリカ人のフランソワ・イスラエルさんが弟子兼秘書をしていたらしいけれど、
その人に案内され向かった地下牢の暗がりから、巨大な熊のように自分の方にクローリーが現れたら…び、びるわな。
このテの山師は、人の混乱を察知するのが上手くて、気配を自在に操れる。
地下牢の雰囲気にビビりまくっている、そんな人物に音もなく近づいて、
「やあ、魂に導かれし、小さき者よ!!」
なんて、急に大きな声でいきなり叫ばれたら、
ふつうなら、思わず叫びあげるわね。
ははっ。面白いけど、ホラーにならない気がする(○_○