魔法の呪文東欧考察 10
季節は足早に冬…それも夕方の明るさに、春への希望を含んだ冬の中に私たちはいました。
部屋にある小さなオルゴールは、静かにショパンの夜想曲を部屋へと漂わせ、
私は、作者を元気づける為にお茶をいれる為席を立ちました。
このところ、色々とあって頭が混乱しているようで、あやとりをするように、物語を作ったり、消したりを繰り返しているのです。
まあ、仕方ありません。
私を、物語を放って、新しい話を作ったりするからです。
案の定、未完を増やして、こちらへ戻ってきたものの、宿題を思い出して混乱するのです。
そう、書きかけで放った『魔法の呪文』には、宿題があったのです。
不幸な隠れキャラトラウゴッドと、プラハの謎。
リリアが魔法技師になったそのわけが。
これ、当初は軽い悲恋の物語だった。
が、プラハをめぐる時勢が、トンデモなかったので物語が複雑に要り組むのだ。
「ココア…です。少し休みましょう。」
私は、窓の外を舞う雪を見つめる作者に声をかける頃、ココアの甘い香りに溶け込むようにオルゴールの音が消えました。
「ありがとう…。はぁ…(;_;)」
作者は、疲れた顔でココアの入ったカップを両手で握った。
窓の外は雪。
結露で白くけむる窓硝子を手で荒く拭きながら、作者は雪に埋められた中庭の、白のグラデーションをボンヤリと見つめている。
私は、ピアノの前に座り、最近覚えたショパンを奏でる。
ピアノの詩人と言われたショパンは、夜想曲を得意としていました。
夜想曲
作者は、誤解してましたが、これは夜中の宴たけなわ、と、言うときに演奏されるものではありません。
夜想曲と漢字が、ふられていますが、この曲は、夜会の終わりを告げるものです。
終宴曲、もしくは、朝覚曲という感じの方が近いのかもしれません。
しかし、私がこれから演奏する…ノクターン9-2を作者は、恋を語る歌だと思っていたようです。
古い少女漫画の西洋の少女と王子さまが、密かにバルコニーで踊る時に流れるイメージで聴いていたようで、
真実を知って酷くガッカリしていました。
(^-^)ふふふ…
私は、なんだか楽しくなってきて、その曲をひきはじめました。
ノクターンは、宴会の終わりを告げるのです。
私たちも…物語を終わりまでつれて行かなければいけません。
作者は、色々あって、疲れてはいますが、
進める先には、きっと、ハッピーエンドが待っているはずなのです。
でも…
今は、少しだけ、考える時間を頂きたい。
そして、現在ポーランドと呼ばれるワルシャワ公国に生を受けたこの音楽家の波乱に満ちた生涯を知ることで、私たちが物語る『魔法の呪文』にも、
ショパンの曲に微かに漂う、物悲しさが染み入るのです。