表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茶色いノート  作者: ふりまじん
100年戦争
106/499

魔法の呪文東欧考察9

蘇州…上海に続く古の都。

「東洋のヴェニス」と言われ、かつては絹織物の産地として栄えた…


蘇州夜曲は、愛しい男性の胸にいだかれて、

美しい蘇州の話を聞く

恋と、蘇州へのときめきを胸に、

一夜の儚いロマンに揺れる女心の歌だ。


私はワンコーラスの後から

間奏をワルツ調にして、再び『蘇州夜曲』を奏でる。


蘇州から、一気に、ウィーン、ドナウ川にイメージを変えて行きます。


どちらにしても、

蘇州夜曲も

帝国華撃団も

私たちの話には必要ない。

この物語を10万文字で終わらせるのです。


その為に、これ以上のエピソードは読者と作者おも混乱させるだけなので不必要です。


『魔法の呪文』は、恋を知らない少女だけに許された三つの願いの物語。


音楽と淡い恋物語なのですから。


私は、覚悟を決めて一気に華やかなワルツで部屋を…

作者の心を埋めて行きます。


これは、美しい西洋の恋の物語。


10万文字のただそれだけの物語。



混乱を食い止めないと。

物語が止まってしまったら…

今度こそ、作者(あのひと)は、やめてしまうかもしれない。


この間、私の作者は編み物の道具を探していました。


三年目にして、100円にもならない物語。


丸2年、放られていた手芸の道具が懐かしくなるのは仕方ありません。


そうしたら…物語は、


私は…


どうなってしまうのでしょう?



この作者(ひと)の側にいるためには、10万文字、出来るだけ早めに作り上げるしかありません。




アレンジを入れた少し長い曲を弾き終わって、私は我にかえりました。


いつの間にか、作者は椅子に座って大人しくコーヒーを飲んでいました。


演奏の終わりに気がついて、作者が呆れたようにゆっくりとした拍手を私に投げ掛けます。


私は、夢から覚めたように呆然として作者を見つめました。




「あっはっはぁ…」

作者は椅子から落ちそうな勢いで笑い転げています。

私は、作者が入れてくれたコーヒーを飲みながら、不機嫌に作者を見つめました。

「そろそろ、笑うのにも疲れたのではありませんか?」

私は、冷たい視線を作者に向ける。


作者は私の声に反応して一度笑うのを止めて私を見た。

で、次の瞬間、スイッチが入ったように笑い出す。

「どうぞ、お好きに笑ってください。」

私は、もう、諦めてコーヒーを飲んで知らない顔を決め込んだ。


それを見て、さすがにマズイと思ったのか、作者も必死で笑うのをやめて、私の機嫌をとりはじめた。

「ごめん、でもっ。て、帝国華撃団を話に……ぶっ、ごめん。

童話に人形戦闘機(ロボ)は出さないわよ…。

さすがに、それは設定的に無理がありすぎるし…。」

作者は、必死で笑うのをやめようとして、唇を震わせていた。

「ロボ………。」

私は、意外な展開に頭を混乱させた。

「そうよ。あの話はロボットが出てくる話だよ。

まあ、あなたは、美少女戦隊みたいなイメージを考えたんだろうけれど…。

リリアとその他四人も新たなキャラいれて美少女戦隊をつくり、

フェネジとメアリー

フランクと仲間たち。

これらでよってたかって、赤毛の錬金術師一人に襲いかかる話は…

シュール(T_T)」

「シュール…。」

おうむ返しに私は作者を見て、一つため息をついた。

「それなら、なんで、『檄!帝国華撃団』をリクエストしたのです?」

私は、恨み言をいう。


「なんとなく…よ。

最近、クラッシックばかり聴いていたから、たまにはアニソンとか聞きたくなったのよ…。」

作者も、止まった物語を思い出して渋い顔をした。


「それだけ…ですか。」

私は、力が抜けるのを感じた。


「それだけ…よ。

でも、あなたの曲を聴いていて、ちょっぴり、オーストリアも帝国だ、とは思ったけどね。」

と、作者は苦笑する。

「ほら、同じことを考えるじゃないですか。」

私は、少し負け惜しみのように作者を責める。


「ふふっ。そうね。

でも、私、リリアの前にトラウゴッドが頭を回っていたから、美少女戦隊は考えなかったわ。」

作者は深くため息をつく。

「トラウゴッド、ですか。」

私は、登場間もなく消された隠れキャラを思い出す。

「うん。ほら、再登場のために、色々設定を考えていたから…、ドラゴン騎士団とか、色々。

だから、トランシルバニアとバイオリンの起源のはなしが絡んできて、頭が混乱したのよ。」

作者は渋い顔で、窓の外に目を向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ