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茶色いノート  作者: ふりまじん
100年戦争
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魔法の呪文東欧考察8

「やってやるわよ。冷静な分析とやら。」

作者はそう言って、私にピアノを弾くように言ってきた。


この舞台は、ヨハン・シュトラウスの屋敷をモデルにしているので、壁側に小さなピアノがあります。


私はストーリーテラーですから、一応、万能な設定なのでピアノも弾けます。

さて、今回は、どんな曲でしょうか?


私はピアノ用の椅子に座り、作者に聞いた。


「何をリクエストします?やはり、リストでしょうか?」

私はリストの『愛の夢』を思い描いて作者に微笑みかける。

「て、ていこくかげきだんで。」

作者は少し照れたように小声で早口で何かを言った。

「え?」

「だから、帝国華撃団よ(;O;)」

作者は今度は恥ずかしそうに、叫ぶ。


私は鍵盤の上に両手を浮かせたまま、恐る恐る確認する。

「あの、ゲームの、ですか?」

「そうよっ、まさか、弾けないなんて言わないわよねっ!」


と、叫ばれたのを合図に、私の指が鍵盤を滑ります。


いきなり、19世紀モデルの世界で、20世紀末の人気のゲームのオープニングテーマを弾かされるとは。


心に、不安が走ります。

『檄!帝国華撃団』は、作曲・田中公平先生

1996年の『サクラ大戦』と言う家庭用ゲームソフトのオープニング曲です。


このゲーム、なかなか流行りまして、

総じてオープニング曲『檄!帝国華撃団』もゲームを知らない私の作者のような人間でも耳にする機会があった曲でもあります。


アニメ独特のアップテンポな曲ですがそんな事より、なぜ、ここに来てこの選曲なのかが恐ろしい…


確かに、我々の物語の舞台もオーストリア=ハンガリー帝国の話ですが、


確かに、ウィーンもまた、音楽の都ではありますがっ………。



鍵盤を叩きながら、恐ろしい妄想が、止まりません。



軽快なリズムに(オーストリア=ハンガリー)帝国華撃団が、脇役のリリアと共に頭に浮かんできます。

ああっ。これは本当にアウト、と言うか、デットボールクラスのパクリ案件です。


まあしかし、基本、闘う魔法技師の話なら、それほど問題にもならないのでしょう。

オーストリア皇帝の冬の宮廷ホーフブルクには、

あのヒトラーにもゆかりのある伝説のロンギヌスの槍が現在でも展示されているのです。


この槍を持つものは、世界を支配できる…みたいな中二病になりそうな伝説があり、

ヒトラーもそれを信じていたとか、まことしやかに伝えられています。


これは、なかなか面白いエピソードで、それだけでお話がいく通りもできそうですが、今は、それどころではありません!


とにかく、史実でもロマンチックに語られるこのロンギヌスの槍、説明に少し使ってしまい、

我々の物語には、このロンギヌスの槍を守る、宮廷魔法技師がいる設定が確定しています。


で、リリアというキャラクターは、オーストリア皇妃エリーザベトの女官設定の音楽の魔法技師。ついでにプラハの出身確定です。


エリーザベト皇妃の側で働くには、見目麗しく、男子禁制、清廉清らかな女性でなければいけなかったようなのです。


つまり…


女性だけの魔法技師のそんなバトルグループを作ることも可能では…あるのです。



ああっ…嫌な予感が、胃に、胃にググッときます。

が、ピアノは滑らかに引き続ける私。


作者は立ち尽くしたまま私の演奏を聴いています。


音楽から、私のイメージが嫌でも膨らんできます。

(オーストリア=ハンガリー)帝国華撃団…


要りませんから。


こんなもの、7万字を過ぎた辺りで登場されても…

まとめきれるわけもない!!


しかし…設定は頭を回ります。


1848年革命で一度は壊れる中欧…


そして、200年近く、歴史の闇に沈められたチェコ語と共にプラハの都に封印された何かが…目覚めようとしていた。

それを押さえ込んだ現皇帝。


それを守り、封印する皇妃付きの麗しの乙女…



い、いかん!


私は間奏部分で一気に、蘇州夜曲に変えて行きます。


蘇州夜曲…


1940年の李香蘭主演の映画の劇中歌で、

現在でも沢山のアーティストがカバー曲を発表するロマンチックな服部良一先生作曲の昭和の歌謡曲です。


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