魔法の呪文東欧考察5
(´ヘ`;)
作者は、黙って都会の小さな空を見つめていた。
19世紀ウイーンは、急激な都市計画と移民や難民のために居住環境が劣化します。
この時代、ウイーンでカフェが流行したのは、
そんな住環境から抜け出して、くつろげる場所を人々が望んだからだとも言われています。
私たちは、空想の世界で、ついでにヨハン・シュトラウスが社交好きではなかったので、少し立派な屋敷でお話をしています。
ヨハン・シュトラウスもまた、お茶の時間を愛していたようですが、こうして、自宅で親しい人との静かな時間を好んだようです。
カフェと一緒に、華やかに花開くウイーンのスイーツ。
でも、今日はコーヒーに小さなチョコレートをつけてみました。
包み紙に描かれるのは、モーツァルト。
有名なチョコレート菓子です。
「まずは、コーヒーを飲みませんか?
悩んだって、事態は解決しませんから。」
私は、作者に優しく声をかけた。
作者は、しぶしぶ私の方を向いて、いつもとは違う、怒られる前の子供のような顔で私を見た。
「……。また、そんな顔して。
7万文字を越したのですよ?読者も少しだけ増えたようですし、もう少し喜んだらどうですか?」
私は、怖がらせないように静かに作者に話しかける。
「そんな事言ったって…。地雷を踏んでしまったわ(;_;)」
作者は、大きなため息をつく。
私たちが話しているのは、童話『魔法の呪文』という作品についてです。
もともと、単発の童話で、評価を貰ったので、アンコールの話を少しだけ長く書く予定が、少女用の公募にエントリーしたために、七転八倒を繰り返すことになったわけです。
「ま、まだ、不発弾です。
落ち着いて行動すれば、生還は可能です。
まずは、コーヒーを飲みながら作戦を練りましょう。」
私は、努めて事務的に言いました。
こんなときは、責めたり、甘やかしたり、行動を強要するのは逆効果です。
「不発弾…かぁ。言い方によって状況のイメージって、変わるわね。
これが諸葛亮なら、『敵は完全につみました、死んだも同じです。』とか言われそうよ。」
作者は、少しだけリラックスをしてコーヒーを飲む。
「諸葛亮?三国志ネタが好きですね。
私達が孔明の敵と言うなら、兄の諸葛瑾が我々の軍師。
彼は、地雷が炸裂する前に、自ら敗けを認めるなんて、決して自分の仕えるお姫様にのぞみませんよ。」
「諸葛瑾!
孔明のにーちゃん登場て来るなんて、あなただって、結構、三国志好きじゃない。
でも…お姫様って誰よっ。あの人は、孫権に仕えていたのよね?」
作者は、不思議な顔をする。
「お姫様…、この場合、あなたの事ですよ。」
「!!!」
作者は、私の言葉に絶句した。
少し、やり過ぎましたかね…。
でも、女性ですし、女王までの風格はまだ、ありませんからね。
歳を取ってもまだ、お嬢ちゃん。と、いう意味でも、お姫様が妥当ですか。
なんて、私がバカな事を考えていると、急に、作者の瞳に創作意欲の光が宿りだしました。
「素晴らしいわ!時影。アンタもやるときは、やる男ねっ。
私をお姫様に例えて…、孔明の話からの姫様ネタ。
ちょっと、胸キュンしたわよ!
ふふふっ。この2年、なろうを漂うだけだと思っていたけれど、
ちょっとは、口説き上手なキャラに成長してる子もいるのね(T-T)
そして、わたしも、わりとこんな文章書くのに抵抗が無くなってきてるわ!!
はぁ…。
それにしても…。
今回は、やっちまった感が否めないわよ(T-T)
7万字を越えた現在、このまま突き進みたいけど、でも、少し、頭を整理することにするわ。」
作者は、真面目な顔で私を見る。
私は、そんな作者に頷いて、二杯目のコーヒーを作者のカップに注いだ。