魔法の呪文東欧考察3
はぁ…(´ヘ`;)
私の作者は、一坪程度の小さな庭を見つめてため息の花を咲かせていた。
私は、生クリームたっぷりのウインナーコーヒーを静かにテーブルに置いて、彼女が私に気がつくまで、静かに向かいの椅子に座って様子を見ていた。
今日、久しぶりに童話を更新し、作者は少し緊張が緩んだのだ。
穏やかな昼下がり、
どこからともなくピアノの調べが風に運ばれてくる。
これは…
トルコ行進曲、でしょうか?
軽快なテンポでピアノの音が、私たちの部屋の中を飛び跳ねながら通りすぎてゆきます。
「とるこ行進曲…かぁ。これは、確か、モーツワルト。」
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。正解です。」
私は、眉間にシワを作りながら必死で記憶を呼び起こす作者に言った。
作者はそこで私に気がついて、それから、この偉大な作曲家の表記違いにため息をついた。
「モーツァルトかぁ…(-_-;)なんだかなぁ。
亡くなったのが、1791年マリーアントワネットとのエピソードがあった気がするから、この人は、使えるんだよね(;_;)」
作者は頭を両手で抱え込んだ。
そう、19世紀は、シュトラウスのワルツやら、パガニーニ、ショパンにリストなど、クラッシックの有名人が新星のように現れて消えた時代なので、音楽の作品にするのは、地雷原を地図なしで歩くようなものなのです。
「はははっ。本当に、面倒な時代の話を10万文字の初めの作品に選んでしまいましたね?
まあ、コーヒーでも飲みませんか?
このエリアは、なんでもアリですし、何しろ、私達の作品は、閲覧数が少ないですから、そんなに必死にならなくても。」
私は、次から次に、沸き上がる問題を思い出して笑ってしまった。
作者は決まり悪そうに、口をへの字にしながら、コーヒーカップを手にした。
「はぁ…やられるわ(;_;)
疲れるわ。パガニーニを調べるとショパンが出てくるし、
それより、今は、歴史。
ヴィーナオーパンバルって、結構最近だったのねぇ(T-T)
1877年だって…。はじまりがぁ。
死にそうだよぅ。」
作者は、口をクリームで汚しながら思いきり目をつぶった。
「そうですね。第一回が1877年ですから、それより後に物語を設定しないと行けませんしね。」
私は、面白い顔の作者を見て、つい、笑いながら話した。
作者は口を拭きながら、一瞬、不機嫌な顔を私にして、それから、一緒に笑いだした。
「本当だよ…。もうっ。第一次世界大戦が…近づくし、面倒くさいわ。
あの大戦から、戦争の様式が変わって行くから、あんまり使いたくないんだよね…。
童話だし、少女小説だし(T-T)
あはは。本当に、笑えるわね。
なんで、こう、私が書くと面倒くさいことになるんだろう?」
作者は、破壊的な笑いをもらして、それから、一つ、ため息をついて、こう続けた。
「でも…。時間をつかみやすくはなったわ。
記憶が正しければ、ウィーン万博があったのが、1870年。
大阪万博は、その丁度100年後。
この辺りを基準にして、1877年からはじまったヴィーナオーパンバルを80年代に流行した『ネルトンパーティ』を参考に考えてみるわ。そうすると、私も、読者も、時間軸をつかみやすいと思うんだ。」
作者は少し元気にそう言った。
「フランク、ご免なさいをされちゃうんですか?」
私は、80年代に流行したお見合いパーティの告白タイムを思い出しながら、何となく、この先が不安になりだした。