彩
未完短編三作品です
【縁】
辿り 巡り 迷い 連なる道
見えぬ行く末 歩む事止む時
それは最後の日
流れ 揺れ 波紋に見る姿
映し出す 影 鏡に見る姿
空澄みに浮く 形無きもの
人の心 その数を成すよう
白々と染む月 唯在りし日
絡む糸 幾多の人 解けぬ縁
【桜】
一つの風が終わりを告ぐ
またその始まりを教えて
幾重にも重ねて繰り返す
在りし日 季節 名残の雪
何が為に咲き
何が為に散る
儚き桜 陰り無き花弁
小夜に包まれ 咲き誇れ
揺らぎ 揺れて 澄み渡れ
咲いて 咲いて 舞踊れ
薄紅の夜 色彩は鮮やかに
強く 強く 迷い無く
遠く 遠く 果ても無く
ひとひらの命にその身を委ねて
刹那に咲き舞散れ
止めどなく変わり
繰り返される歴史
残された意味を知り
誰に真を伝えるのか
【青】
記憶の彼方 遥かへ消えた
曇り無き空の色
目を伏せて唯夢を見ていた
脆く弱かった遠いあの頃
届かない空は限りなき青
交わる色彩に想い馳せて
繰り返す 風の音色 季節の香
一つ終わりを告げ また始まる
振り返り 立ち止まり 俯いて
心の在る場所を探し続けた
ずっと……
変わらない景色がそこにあって
追い掛け続けた 唯一の青さを
思い出に重ねた懐かしい声も
あの日から繋がっている真実も
伝えたかった たった一つの約束
その笑顔の向こうで
「また逢えるように……」と