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異界にはためく旭日旗  作者: お猿プロダクション
序章 終わりの始まり
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第弐拾肆話 会談

ちょっと前半の書き方を変えてみました(変わっちゃいました)。

大方[GODZILLA 怪獣黙示録]のせいですね

 

「さて。貴女の持つ情報とか言うのを、聞かせてもらおうか?」

 椅子に深く腰掛けたコッリングウォードが、試すような目つきでヴーティカを見ていた。彼女は腰掛けていた椅子に一層、その女性らしいラインを描いた臀部を深く掛ける。

「そうですわね・・・まずは——」


 ◆


 何から話しましょうか・・・・そうだ、霧の大洋。あそこの調査に本官らは向かった。途中までは、まぁ快適だった。水兵達が釣った魚を皆と捌いて食べたりもしたし、海鳥も多かったわ。貴方みたいな人は一度見て見るといい。


『スペクター』艦長を細めた目で睨みながら私はそう言う。確か、奴はイーツェ教の絶対神派の人間だ。絶対神派の人間はどうも好意的に見れない。他者を足蹴にする事を何とも思わない———それどころか当然とすら思っている———連中だからだ。


「ヴーティカ2級提督。我々は貴女の旅行話(・・・)を聞きたいのではない。」

 コッリングウォードが組んだ腕もそののままに片方だけ目を開けて言った。


 そう焦らずに。

 ・・・えっと、海鳥の話だったな。あれから数日は魚や海鳥なんかをよく見た。けれど、ある日を境にそれが一切居なくなったんだ。


「ほう。ある日とは?」


 今から3日前だったかな・・・全く見れなくなった霧の大洋の近海で魚や海鳥が居なくなる、なんて話は聞いた事がなかったから、不審に思った。むしろ、漁船や船の通りが少なくなって研究者の間では魚が多くなっているだろうと聞いていたから、尚更の事おかしいなと思った。

 勿論・・・それでも我々は進んだよ。多少あたりの環境が変になったからって、任務を棄てるわけないさね。


「・・・貴女はその任務を棄ててここに居るのでは?」


 口が過ぎるわよ。

 さて、そう言うわけでそのまま我々は艦隊を進めた・・・それで、所定の海域に到達した——たけれども、そこには霧がなかった・・・霧の大洋が無かった。

 驚いたわ。何てったって有るはずの物が無いんだから。何度も何度も航路と海図を確認して、六分儀で座標を確認した・・・けど出てきた結果は、航路に誤りはなく所定の海域に到達している事を示していた。

 仕方がないから、そのまま艦隊を進めた。だってそうでしょう?そこに目的の物が無かったんだから。

 それで、艦隊を進めてしばらく経ったら水平線に霧がかかっているのが見えた。霧の大洋に着いたってわけ。驚きだろ。霧の大洋が後退したなんて、前代未聞だ。

 これが私の持っている情報の一つ。

 ・・・怪しむのなら、実際に行ってご覧なさい。


「霧の大洋が、か・・・なるほど確かに重要な情報だ。しかしその程度では貴女が引き返してくる口実にはならぬぞ?」

 相変わらずの姿勢のまま、コッリングウォードが言った。


 その程度分かっている。本題はここから。

 それで暫く進むと、霧の中から“何か”が出てきた・・・それにも驚いた。霧の大洋は一度入れば、何人たりともそこから出る事は叶わない———って言われているから。

 見ると、その“何か”はとんでもなく大きかった・・・そう、それこそ戦列艦より大きい様に見えた。

 暫くしたら・・・こう、何て言えばいいのか・・・海獣の咆哮———とでも言えばいいのか。地鳴りにも似た大音響が響いた。

 驚いたさ。鳥肌が立ったのを覚えている。あんな音聞いた事なかったから。

 勿論、その時の“何か”は魔術情景複写器で写しておいたさね。・・・ちょっと、アレ出して頂戴。


 私は振り向いて一緒に連れて来た従卒の一人に声を掛けた。

「はい。」

 彼は鞄を弄る。まだ若年の青年だが、私個人としてはまあまあ気に入っている。極めて優秀とかでは無く、忙しくなってくると得てしてテンパってしまいがちだが生真面目に仕事をこなす様が気に入っていた。

 パササッと合わせて3枚の紙を取り出し、机上に伏せる。


「——魔写、か。」

 コッリングウォードがそう呟く前に、彼の手は既に紙へと伸びていた。

 ペラリと捲ると、そこに写っていたのは、白黒ながらもその情景が良く分かるものだった。

「これは群島か?」

 彼は魔写の中央近くを指差して言う。それは、黒い影の様なものが幾つも連なっている様だった。

 彼は、その中でも一際大きな影を指差していた。


 分からない。ただ、我々はそれを浮島では無いか、と思った。霧の大洋から出る事は叶わない・・・だから、最初から船の類いだとは思わなかったし、そもそも船だとしても大きすぎるでしょう?

 戦列艦どころじゃなかった・・・私だって皇国史上最大って言う『アルグス』級竜母を見た事はあるけど、あそこまで大きくは無かったわ。軽く150リム(約180m)はいってたんじゃないかな。


「150リム・・・か。」

 顎に手をあて、コッリングウォードは唸った。

「提督・・・?」

 普段がら艦の上にいる時はよく行動を共にすることが多い艦長でさえ、彼がこの様に悩む様な姿は見たことが無かった。

「これは———」

 次第に、コッリングウォードの顔が曇る。


 どうした?


「これは早急に本国へ伝える必要がある・・・貴女の言う情報、と言うのは理解した。モナ・二ケア・ヴーティカ3級提督。」

 彼はこれまでに無い程、鋭い目でヴーティカ見ながら言った。


 ◆


「・・・と言うと?」

 ヴーティカは眉を顰めた。突然真剣味を帯びた口調になったコッリングウォードを、彼女は見返した。

「直ちに艦隊を進め、本国に帰還して貰いたい。そして、貴官は己が任務を遂行して貰いたい。」

「「⁉︎」」

 期せずして訪れる驚愕・・・それは『スペクター』艦長と、ヴーティカの2人のものだった。

「て、提督⁉︎何故でありますか!この女狐めをこのまま返すなどっ・・・・!」

「黙りたまえ艦長。これは東部同盟オステン・サユースの存続危機に直結しうる事態なのだ。」

「しかしっ!」

 尚も納得できなかった艦長は捲し立てる様な剣幕で迫る。が、

「ヴーティカ2級提督。直ちに艦に戻り、本国に帰還されたい!」

 あまりな態度の変化に、ヴーティカでさえややたじろいでいた。

「こ、コッリングウォード提督?一体なんだと言うのだ・・・?その魔写には、何が———」

 “何が写っている?”と言おうとした彼女の言葉はしかし、コッリングウォードによって遮られた。

「聞こえなかった様だな。早くしないか。直ちに艦に戻り、直ちに本国に帰って貰いたい‼︎」

 彼女の知るコッリングウォードからは想像もできない様な剣幕で彼は言った。・・・否、吐き捨てる様な言い方であった。

「り・・・了解した・・・・・。」

 彼の威迫する様な雰囲気に少し萎縮してしまったヴーティカは、それ以上は何も言わず従卒に「行くわよ・・・。」と声をかけるや、士官室がら出て行った。

 従卒もやや緊張した面持ちで「し、失礼致します・・・!」とペコペコしながら魔写などの資料を手早に集め、すぐに出て行ってしまった。


「提督、何故・・・?」

 艦長が問うが、当のコッリングウォードの耳にはその声が届いていたかは、怪しいものだった。


 ◆


 数分後

『レプルセ』 艦上


「これより我々は、本国への帰還の途に着く・・・全艦帆を張れ!風魔導石出力上げっ!」

 ヴーティカは『レプルセ』の艦尾にあって、そこで指揮をしていた。但し、その顔は『スペクター』に移る前の凛とした、美しい顔立ちではなく、目元に影を落とし何処か意気を削がれてしまっているように見えた。

「モナの姉貴?何かあったんで?」

 水兵の一人が、ヴーティカを気にかける様に言った。

「いや・・・なんでも無いさ。」

 努めて普通を装ってそう言いながらも、彼女は僅かに肩を落とした。

(部下に気にかけられるとは、やはり私など指揮官に向いていないんじゃないだろうか・・・・。)

 自艦の横を次々と通り過ぎるコッリングウォード隷下の戦列艦を眺めながら、彼女はそう自信を憂う。

 艦を纏めて後は帰還の途に着くだけだった為に手持ち沙汰気味だった彼女はふと、身を翻して去りゆく第1戦列艦隊を眺めた。ややすると、彼女の目がある船に止まった。

 明らかに周囲の戦列艦より一回りほど大きく、通常マストが3本ある所なのに、戦列艦のそれよりも大きなマストを前方と中央に2本あるのみ。極め付けは戦列艦ならば一番高いはずの艦尾から艦首両舷にV字型に伸びた異様に広く、そして平らな甲板。

「竜騎士母艦———『フリウオス』級・・・!」

 大空の支配者たる、ワイバーンを遠洋に於いても海上運用が可能な様に建造された、言わば“海上の動く竜騎士運用基地”たる竜騎士母艦はカラブリァン皇国海軍に於いて海戦を優位に進めるための“虎の子”の存在だった。

 それが、何故この辺境地たる中央列島(プラェント・ライン)にまで?コッリングウォードは何故あんな強力な戦力を従えてここまで来たのか?

 ヴーティカの頭の中は、そんな疑問が満ち始めていた。


 そんな彼女を尻目に、彼らはどんどんと離れていった。


 何かが起きようとしている・・・?

 彼女は波に揺られる艦上で、そんな風に考えることしか出来なかった。

今後、一話ずつの文章量が4000~6000前後になると思われます=多分クオリティ下がるよ

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