転校生に取られた人気
とある都会に建ててある女子校で私はこう呼ばれている。
『学院のナンバーワンアイドル!エミちゃん!』
本田エミ17歳。私の地域ではとっても有名な女学院の生徒です。私が学院の廊下を歩けばいつも皆が声をかけてくれる。
「エミちゃん、おはよう!今日もとっても可愛いね!!」
「私もエミちゃんみたいに可愛かったらなぁ〜。」
こうやって皆が私の事をチヤホヤする毎日が私は大好き。
「エミ、おはよう。」
「あ、ちーちゃん!おはよう!」
彼女は綾瀬千穂。あだ名はちーちゃん。私が幼稚園の頃からの幼なじみ。
「相変わらず今日も絶好調の人気っぷりね。」
「えへへ〜、まぁね。」
「そういえば、今日転校生が来るみたいだよ。」
「転校生?うちの学院に?珍しいね。」
「うん。なんか編入試験も全教科満点取ったみたいだよ、その人。」
「満点っ!?嘘っ!?」
うちの学院は並大抵の頭脳じゃ入れないくらい成績が優秀な人じゃないと入学出来ないって有名。でも私はなんとか頑張ってギリギリ合格。ちーちゃんは元々頭が良いから余裕で入れたみたいだけど。
「皆さん、おはようございます。今日はもう皆さん知っているように、うちのクラスに新しい生徒が加わります。じゃ、中に入って、挨拶してくれるかな?」
先生が教室に呼んだ生徒は、髪の毛は短め。身長はだいたい160センチくらいで、見た目は大人しめ、でもクールな感じの生徒だった。
「藤田麗花です。父の仕事の都合でこちらに引越し、この学院に編入しました。これからどうぞ宜しくお願いします。」
その転校生、藤田さんはあっという間にクラスの人気者になった。
「藤田さんってかっこいいね!」
「ねぇねぇ、麗花ちゃんって下の名前で呼んでもいい?」
「前の学校では部活とか何かしてたの?」
こんな感じでモテモテだ。何よ、私という可愛い学院のアイドルがいるというのに。全部取られた感じ。
「転校初日でモテモテだねー。」
「……そうだね。」
気に入らない。私以外の人がチヤホヤされてるのみるとすごくむしゃくしゃする。
「まぁ、あのルックスは女子の人気ポイントがっつりゲットしてるわよね。結構キレイな顔立ちだし。」
それから藤田麗花がやって来てから私の人気はダダ下がり。全部取られた。あの子さえいなければ、私はずっと学院の人気者だったのに。
「つまんない。」
「そりゃ、エミの気持ちも分かるけどさ。別に藤田さんはアンタみたいに喜んでる気配もないから別にそこまで拗ねなくても良いんじゃないの?」
「でも迷惑してるわけでもないじゃん。嫌だよ、私が少し前までは人気者だったのに。」
みんな、もう私なんか飽きちゃったのかな。そりゃ大した事を学院でしたわけじゃないけどさ。なんか全部がつまんない、気に入らない。