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ドカチン  作者: 土木研究会
5/7

ニんげんやめさせられました

「あの、工藤さんとおっしゃられましたよね?あなたは、うちの

 両親の依頼で私を助けに来られたのではないのですか?」


 久遠さんは、あの戦闘を観た後では、敵わないことを理解して

殺されるのではないかと怯えているようだ。


「最初は、そのつもりもないではなかったんだがな?まあ、状況を

 説明しておいてやろう。今後、この世界で生きていくお前らには

 必要なことだろう」

「この世界で生きてくって、あんた俺達を迎えにきたんじゃないの

 かよ!」


 尾崎が虎に向かって吠える。虎は顔を動かさずに視線だけで

ポメラニアンを射殺した。なんかポメラニアン尾崎がキュンキュン

振るえている。


「お前らは勘違いしているようだが、勇者召喚されたから、事故と

 いう形で、こちらに召喚されたわけじゃない。逆だ。事故で、

 地球側での命が消える寸前だった、つまり地球との縁が弱くなっ

 たんで勇者召喚の魔力に絡め取られて、こっちに来たんだ。

 さらに言うと、お前らが勇者の力と思ってるその力、想像して

 るのとも違うからな?はっきりいうと勇者召喚された際に、

 召喚陣の力で身体も精神も改造されている。改造人間だ。

 どっちかというと悪の組織のな?正義の勇者といいはるなら

 初代仮面ライダーだな」


「でも、どこにも改造跡とかありませんよ。どこから見てもただの

 人間じゃないですか!」

「委員長、冷静に考えてみろ。俺の雷撃を受けて、お前ら以外は

 全員死んでる。お前らは、多少の怪我はあるがピンピンしてい

 る。その怪我すら既に治り始めている」

「でも、それが勇者の力じゃないんですか!」

「まあ、本来の勇者召喚で召喚された勇者ならそんなもんだな」

「なら、僕たちだって!」

「お前らは違う。本来の勇者召喚は、莫大な魔力でひとりか数人

 程度を召喚するものだ。その魔力を触媒に勇者に強大な魔力付加

 を与える。この弱小国家がやったことは、金も時間もないから、

 少ない魔力で大量の召還を行える召喚だ。この召喚陣は、少ない

 魔力で済ませるために、召喚時の再構成時に人体改造することで

 魔力を自動的に周囲から吸収することで強い力を振るえるように

 するものだ。この身体に改造されたら、身体を維持するだけで

 魔力供給が必要になるし、ぶっちゃけ無理矢理の改造だから、

 いつまで生きれるかすらわからん」


「わたしたち全員、もう戻れないんですか?」

千佳が俯いて呟く。


「元の身体に戻れるかか?昔の偉いひとが言いました。

 おいしいミックスジュースは作れるが、それを材料のジュースに

 は戻せませんってね。地球になら、戻れないこともないが、

 今の身体は魔力で維持されているって言ったよな?魔力のない

 地球では、何秒維持できるかわからんぞ?着いた瞬間から、

 細胞レベルで崩壊が始まる」


「それから、全員じゃないぞ?最初に迎えに来たっていっただろ?

 そこの少年は連れて帰るぞ?」


工藤さんが僕を指差す。クラスメート全員の視線が痛い。


「工藤さんなんで僕はいいんですか?」

「お前、レベルなしに魔力なしだったろ?お前だけ改造されてない

 ってことだ。むしろ、魔力耐性がないお前は、この世界に満ちる

 魔力にやられてすぐに死ぬぞ?」

「なんで僕だけ......」

「お前は、あの事故でも生き残る運命だったんだろ。縁が切れて

 ないから召喚陣を直接受け付けなかった。こっちに来たのは、

 周囲で大量召喚されたせいで、時空に歪みができて飲み込まれた

 んじゃねえの?いわゆる巻き込まれってやつだ」


 僕って運がいいの?悪いの?

でも、千佳を置いてひとり帰りたくない。でも、このまま、ここに

残った死んでしまうという。


「工藤さん、なんかもっとこう皆がハッピーハッピーな答えとか、

 展開とかないの?このままじゃ、僕は納得できない!」


「ひとつあるぞ」

工藤さんは僕の前に立つと、僕の首筋に一撃を与え、気絶さした。













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