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ドカチン  作者: 土木研究会
3/7

ケとばされて助かる

 僕たち全員が無理矢理、説明もなく連れて行かれたのは、王宮の

謁見の間だった。正面の高いところに偉そうな髭のおじさんが

座っている。


「よくぞ参った異世界よりの勇者たちよ。何卒、我が国を危機より

 救って欲しい。まずは、神官長、説明いたせ」


「この世界は、パンゲアと我々は呼んでおり、あなたたちの住んで

 いた世界とは異なる世界です。パンゲアには大きな大陸がひとつ

 のみ存在しており、その中に数多くの国々が存在しており、我が

 エルメア王国もその中のひとつであります。今、我が王国は、

 魔物などにより国外からの脅威にさらされて続けており、王国は

 疲弊しております。そこで、この世界に伝わる勇者召喚の儀に

 よりあなたたち勇者をお呼びした次第であります。どうか我が国

 を危機からお救いください」


「わかりました王様、僕たち一同お力をお貸しします!」


 イケメン春日が勝手に代表して答えちゃったよ!おいおい、たっ

たこれだけの説明でなんで、そんな回答がでてくるんだろう?

この状況に狂喜していた委員長はともかく、冷静な判断をしてくれ

そうな久遠さんや、なにより優しい千佳までうんうん頷いている。

何かがおかしい。でも、そう感じているのは僕だけのようだ。

普段からクラスメートに芋虫扱いされている僕には言い出せない。


「では、勇者たちよ、早速、天啓の儀を受けてもらおう」


 天啓の儀とは、勇者としての能力確認である。専用の魔道具で、

勇者としての能力やステータスやレベルがわかるらしい。そう、

この世界には魔法やスキルやレベルの概念が存在するのだ。

さすがに、乗り気ではなかった僕も興奮する。


「はいはーーい!僕からやらせてください!」

やはり委員長の内田君が最初に動いた。彼が魔道具である巨大な

水晶に両手を当てて目を閉じると、水晶は強く輝いた。


レベル:1

クラス:錬金術士

魔法属性:火・地

魔力値:4400

スキル:薬学錬金上級


「説明いたします」神官長が説明を始めた。

「あなたたちのレベルは当然1からとなります。

 クラスとは適正のある職業ということです。

 魔法属性は、火・水・地・風・雷・光・闇の7属性があり、大概

 の者は1属性のみであり、2属性あるのは数百人にひとり、

 3属性ともなると数万人にひとりとなります。

 魔力値は一般のものなら100前後が限界、王宮魔術師でも

 1000前後が限界となります。さすが異世界よりの勇者であり

 ますな凄い数値です。スキルはクラスに応じた特殊能力です。

 内田殿は、回復薬の錬成に秀でておるわけです」


 内田君は狂喜して踊っている。


「次は、俺達が行こうぜ」

イケメンコンビがそれに続く。どうせお前ら勇者そのまんまだろ?


 予想通り、


春日

レベル:1

クラス:雷の勇者

魔法属性:火・風・雷

魔力値:14200

スキル:高速回復・雷化


照田

レベル:1

クラス:光の勇者

魔法属性:火・風・光

魔力値:15800

スキル:高速回復・光撃


おまけに久遠さんまで、

レベル:1

クラス:魔法剣士

魔法属性:火・水・地・風

魔力値:11600

スキル:高速剣戟・高速魔力回復


となっていた。どうももともとの才能も影響してそうだ。

無能の僕は、やっぱり無能ってことはないよね?


「わたし、先にいくね」

残りは千佳と僕だけとなった。

クラスメートどころか、米倉先生を含めても全員、高い能力ばかり

である。


千佳

レベル:1

クラス:癒しの巫女

魔法属性:水・風

魔力値:13800

スキル:広域回復加護・高速魔力回復


「すごいね、千佳。癒しの巫女だなんて」

「最後は直樹君だよ。みんな高い能力なんだから、直樹君も心配

 しなくていいからね!」


 最後まで受けに行かない理由は、見抜かれていたようだ。覚悟を

決めて、水晶に手を当てる。



でも、変化がない。水晶が輝かない。電池切れ?


「こんなこと有り得ない!どういうことだ!」

神官長が呻いている。その表情は険しい。


山本直樹

レベル:無し

クラス:無し

魔法属性:無し

魔力値:0

スキル:無し


 王様が問う。

「神官長、どういうことだ」

「多数の勇者召喚による弊害かもしれません。勇者召喚の失敗作

 ですな」


どゆこと?

「すいません、どういうことですか?僕の能力は?」

「そなたは、クラスやスキルがないどころか、この世界の誰しもが

 僅かですら持つ魔力すらもっておらん。レベルすらない。

 そなたは勇者ではない。勇者召喚に失敗した迷い込んだただの

 異世界人だ。いくら鍛えようとも強くはならん」


「なんで?なんでなの?ねえ、千佳。どおいうこと?」

「寄らないで、この芋虫!」


 あの優しい千佳に蹴り飛ばされて床に転げる。この世界の人々、

王様・騎士・神官どころかクラスメートたちまでも蔑んだ目で僕を

見ている。まるで芋虫を見ているような目だ。


「僕は、このあとどうなるんですか?」

王様に問いかけると、

「虫ケラの分際で余に口を訊こうとするか。この場で斬り捨てても

 よいが、この場が汚れる。この王宮より早々に消えよ!」


悔しい。勝手に巻き込んどいて、こんな目に合わされるなんて

酷すぎる。神様!なんとかしてよ!僕を助けてよ!!



「ぱんぱかぱーーーん!お呼びによりお迎えに参上いたしました!

 神様本人ではないですけど、その代理人です。

 おい、クソ王族とその配下!地獄に堕ちる準備はできてるか?」



「無礼者!貴様何者だ!」

「俺は工藤 剛。世界の創造神の依頼で働くなんでも屋だよ!」



今作は、ヒャッはーで、サクサクやります。

ええ、殺りますとも。

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