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詩&短編集

泣かないで

作者: 木下 碧

 君が泣いた


 


 

とても悲しそうな顔で


辛そうな顔で泣いた



君は声を押し殺して


必死に


我慢して泣きじゃくっていた




君の目から溢れるソレは


僕の薄汚れたものとは違う

真珠のようで


穢れを知る事のない

真っ白な心を映し出す鏡にも見えた




 



僕は君が泣いているのは

紛れも無く僕のせいだと知っている


そしてその涙にはしなくていい後悔が混ざっている事も



でも僕は君の涙を止める方法は知らない



だって君に話しかけても

声は絶対に届く事はないし


だって君に触れようとしても

手はいとも簡単にすり抜けてしまうから









………


…本当は


本当は君に言ってあげたい

「君には笑っていて欲しい」と


本当は君に触れたい

君がもう泣かなくて済むように優しくぎゅっと





だけれど


君と話せなくなったのも

君に触れられなくなったのも

君を慰められなくなったのも



全ては僕が選んだ道だ




心も体も汚れきってしまった僕には


君の隣にいる資格など無かったのだから


君のためにしてあげられる事はこれぐらいしかなかったんだ










僕は頭をすり抜けないよう気をつけながら君の頭を撫でた


「泣かないで」


幾度目になるかも分からない言葉を静かに吐き出し

出来ないと知っていながらそれでも尚、君の体を包むように抱きしめ続ける振りをした








ただ優しく



誰にも気付かれる事の無いまま












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